鳥羽見寺子屋では、通常の、子どもたちが集まってめいめいに勉強し、講師(メンター)がアドバイスしたりフォローする「寺子屋勉強会」の他に、主に土曜日に行う「特別授業」があります。
「特別授業」では、学校の先生も「やった方がいいに決まってるけどやる時間/余裕がない」学習体験を、少人数制ならではの寺子屋で行ないます。
内容は、純粋に「漢字」だけだったり、「歴史」だったり、はたまた「実験」だったり、様々です。
とくに大事にしているのは「楽しさ」と「体験」です。この2つの要素は、子どもが学びを深めるために、絶対に欠かせない要素です。
たとえば、「どの素材が電気を流すか?」という問題が中1で出ますが、ペーパーで暗記するよりも、実際に体験したほうが記憶に定着するので、テストで間違えることはない・・・という考え方です。
特別授業は、だいたい土曜日の午後にやることが多いですが、実施日も内容も月によって変わります。予約時に共通しているのは、「2コマ」「最大6人」ということだけです(寺子屋利用が初めての方は、1コマ分のみ無料=1コマ分の料金が発生します)。
いつ、何をやるかは、新着情報の「予約開始」ページに書かれていますので、参加したいものがあれば、予約をしてみてください。
以下は、過去の「特別授業」の事例となりますので参考にして下さいませ。
実験授業『ミクロな世界をのぞこう!』
デジタルマイクロスコープ(顕微鏡)を使って、身近なものを拡大して見る実験授業です。
学校の顕微鏡の授業は覚えていますか?
やれ、ここの部分が何という名称だの、操作方法はこうだの、前置きが長くなりがちです。
もちろんこれは、「正しく器具を扱うこと」「微生物を学ぶこと」を念頭に入れているからではありますが、これでは、「ミクロな世界を見る」というワクワクする学びの体験をすることはできません。
だから寺子屋では、まずは「体験」そして、「感動」してもらうことが第一と考え、ダイレクトにレスポンスがある、デジタルマイクロスコープとテレビ画面を使って、肉眼や虫めがねでは見えなかったものを、みんなで見てもらうことにしました。
さらに、子どもたちの自主的な学びの意欲を刺激するため、あくまでも見るものは、子どもが、「自分が見てみたい」と思えるものにして、たとえば、子どもたちの大好きな「キャラクター」もそうですし、身近な所で「お金」や「塩」。「食塩」と「岩塩」はどう違うか拡大して見てみたら・・・? ということも、子どもたちにとっては科学に触れる貴重な経験です。
1台のマクロスコープですが、子どもが興味があるものをみんなで見ているので、順番に並んで、楽しんでやってくれていました。
「女の子だから理科が好きじゃないんだよな~」とか「興味はあるけど買うのもな~」という利用方法でもできるのが寺子屋の良さです。
特別授業『都道府県マスター!』
一番人気の授業です。
学校では、小4社会で都道府県を本格的にやりますが、「勉強」をはじめた小1も、いろんな教材などで都道府県に触れることが多く、一番「入りやすい」時期でもあります。
実は都道府県は、名前を覚えるだけなら、「歌」というのが一番手っ取り早いですが、それだとただ覚えるだけになりますので、そうではなく、都道府県から、どう学びを深めていくか?ということが大事なため、興味を深めるような授業になっています。
その都道府県は、何で有名か? なぜそれで有名か? どんな特産品があるか? それにはどんな背景があるのか?・・・などを写真や動画を元に理解していく中で、理科や社会の生きた知識を学びます。そしてそのプロセスの中から学んだことを生かし、未来を想像して行動する人間になることが大事です。
都道府県はそのための「入り口」にしかすぎません。
小さい内からそんな難しいことは言っても通じないのが子どもなので、まずは、都道府県の形、場所、名前を「学ぶ」ことを楽しんでもらうために、参加者の習熟レベルに応じて、時に「パズル」、時に「地図に書き込む」、時に「動画を見る」など、様々な方法で都道府県、名物などを学んでもらいます。
あまりにもハマりすぎて、都道府県の市販のドリルまでやって、小1で「岩手県のリアス式海岸」まで言える子もいます。
くらべて学ぶ日本史
「社会が出来る子は比較して覚える」という事実から逆算して、歴史というものを「ビフォー・アフター」や、「比べてみた」のように、比較して違いを理解する授業です。
歴史のポイントは、「変化」です。
なぜ、「冠位十二階」を習うのか?
なぜ、「大化の改新」を習うのか?
実は、「冠位十二階」のあと、「冠位十三階」「冠位十九階」「冠位二十六階」「冠位四十八階」と、今風に言うとアップデートしていったという歴史があるのですが、それは学校では習いません。
なぜなら、「冠位十二階」であれば、それが生まれる前と後の変化=「歴史が変わった」事柄が重要で、「冠位十二階のアップデート」は重要じゃないのです(ちょうど、「iPhone」の、「6」と「6s」は目立った変化じゃない、みたいな感じです)。
ですから、「大化の改新」も同じように、蘇我氏という天皇じゃない豪族が支配していた状況をくつがえし、天皇制が強固になったキッカケだから取り上げるのです(ちなみに、「大化」は日本で初めて使われた元号で、完全なる天皇制の政治に「改め新しくする」という意味です)。
そしてそれが、平安時代になり、藤原氏が台頭して・・・といった感じです。
こういった覚え方をしないと、まったく時代が違う単語を「ただ当てはめる」だけの、単なる暗記科目になっちゃいますが、歴史の範囲は膨大です。
だから、みんな、縄文・弥生時代はよく覚えているのですが、途中から記憶に入らなくなっていくのです・・・そうならないためにも、「変化」を意識して覚えてもらいたいため、学校の授業で得た知識を思い出させながら、授業形式で復習してもらいます。
作文講座~5段落エッセイから学ぶ~
日本で「作文」というと、「自由に書くもの」「読書感想文」を思い浮かべますが、多くの人が、そのままの状態で大学に入ったり社会人になったりして、レポートや論文、報告書を書く時に「これじゃ『感想文』じゃねーかッ!」と怒られます・・・。
それは、日本の学校教育で、「作文」の作法がしっかり教えられていないからです。
「自由に」「子どもらしく」「感動的」な文章が◯・・・それ以外の指導が学校では行われません。それでは当然そうなります。今は大学生でもこういう子が多いです。
海外では、作文は「感想文」ではなく、「レポート」であり「(小論文としての)エッセイ」です。自分の「気持ち」を伝えるのではなく、客観的事実を元にした、「説得」の材料であり手段です。たとえば、アメリカでは小学校3年までは話し言葉による「感想」、小4以降は、「5段落エッセイ」を通じ、「論理的な文章」の作法を学びます。「作文力」がなければ進級もできません。
日本でも、2020年にマークシート方式のセンター試験が廃止され、記述問題で問われる問題も増えていきます。今どきの就職活動も、エントリーシートによる作文が必要です。社会人になっても、今以上に文書作成ができる能力が求められます。
これらに求められるのは「感想文」じゃありません。
相手が求める意図を理解した上で、客観的事実を述べる「論理的な作文力」、また、そのための「情報整理術」です。
しかしこれは、いきなり出来るものではなく、練習が必要です。
そこで寺子屋では、ワークショップ形式にして、モチベーションの湧かない「強制的なテーマ」ではなく、自分の好きなものなどを伝えることを通じ、「伝えたいことを文章にできる」ように「作文力」を身につけさせていきます。
文章は書かなければ上達しないので、継続的参加がオススメです!
漢字マスター千字問
コアな人気を誇る、寺子屋オリジナル教材『千字問』を使って、ひたすら漢字を勉強する時間です。
名前の由来は、昔の寺子屋で、漢字の勉強をするために使っていた、古代中国で作られた漢字教材『千字文』から来ています。
元祖『千字文』は、漢字千文字ちょうどで書かれた漢詩で、特徴は「千字が一度もかぶらず」に、しかも政治・地理・歴史・倫理などの「文章(漢文)として成立」したものだったそうで、寺子屋ではそこに着目しました。
漢字の学習は、単一の漢字を学ぶだけでは足りません(それは「習字」です)。
なぜなら、漢字は、文章の中に出てくるのが普通だからです。現実で大事なのは、「文章の中の漢字として覚えること」「文章として漢字が書けること」です。(ちなみに学校の教育課程では、1学年で、前者(読み)ができればOKという考えになっています)
そこで、寺子屋では、ちょうど小学校で習う漢字が約千文字(1006文字)ということもあり、「文章で学ぶ」タイプの漢字プリント『千字問』を作りました!
小学校1年から復習し、どんどんレベルを上げて、小学校で習う千文字をマスターしてもらうのです!
また造りも、人の記憶方法を踏まえた工夫をこらし、A4一ページを4分割し、それぞれを見ずに、4つのステップで学習する形になっております。
- 見本…文の「読み」と漢字の形を「絵」として覚える(インプット)
- 読み…漢字の横の空白欄に「読み」を思い出して書く(アウトプット)
- なぞり…薄く書かれた漢字をなぞり、漢字を「字」として書く(インプット)
- 書き…「読み」と文章から漢字を思い出しながら書く(アウトプット)
ポイントは、前のステップにやったことを「見ずに」次のステップに進むこと。
こうすることで、漢字の学習でありがちな「惰性」になるのを防ぎ、脳を「記憶モード」にしています。そのかわり、漢字の時間なのに、「一番頭を使う」ため、終わると結構な疲労感があります。
他にも、「マインドマップ講座」「ディベート講座」なども実施しましたが、いずれも楽しそうに参加してもらえましたし、次々と色々な物を企画していますので、「これだけ参加している」という方もいらっしゃいます。