2/11土の中日新聞にも出ていましたが、愛知県私学協会が2013年度の私立中学入試の最終志願状況を発表しました。
志願倍率は4.5倍で、前年より0.1pt増えたとのこと。
それでは一番倍率が高いのは、かの東海中? それとも南山? いやいやSSK?
・・・と思うかもしれませんね。
倍率が高いのはあの付属中学!
しかし、倍率1位の私立中は
愛工大名電中学
でした。
なんと倍率は10.0倍。
10人受けたら1人しか受からない計算です。
2016年度なんて6.6倍だったそうですから、凄い増えています。
それで2位は
愛知中学で9.0倍です。
どちらも昔男子校、今は共学で、偏差値が高すぎないというので受けやすい中学でもあります。
女子中で一番倍率が高いのは、
名古屋女子大中学で8.6倍。
詳細は愛知県私学協会の運営する、愛知県私立中学サイトにて公開されています。
倍率10倍って恐ろしいですよね。
まぁ、公立中高一貫校の導入時はこれくらいの倍率になるらしいですが、こういった、トップ中じゃないところがここまで人気なのは不思議に思うかもしれません。
オバケ倍率の理由
そもそも、上位校の例として、東海中学、南山男子は3.0倍、南山女子は3.5倍なので、そっちの方が簡単そうに見えますが、募集人員がもともとぜんぜん違うんですよねぇ。
名電中は105人に対して1049人、愛知中は160人に対して1435人、名古屋女子大中は120人に対して1026人です。
お嬢様校として認知されている人気の金城学院中も1050人の受験者がいますが、定員が320人なので、倍率は3.3倍です。
東海中学とかも難しいイメージがありますが、1071人の受験者に対して定員が360人ですから、倍率は3.0倍です。
でも、不思議なことに倍率だけ見ると、「あれ?行けるんじゃない?」という感じもしますよね笑。
中学受験の場合、日程が結構バラバラになっているので、高校以上に一人何校も何校も受けることができます。
それこそ練習として受けることもできますし、学校側としても「受験料」もらえるし、万が一すべり止めでもいいから優秀な生徒が来てくれたら助かるので、有名な塾の先生に「ウチの中学どうですか」と営業かける中学校があるとかないとかあるとか。
そんなわけで、倍率だけ見てると勘違いしてしまう子もいそうですが、そもそも、上位校は「そのレベルに明らかに達していない子」は受けていないだけなので、くらべると倍率が低く見えるだけ、ということです。
私立中受験の変化
それにしても、
私立中受験も昔と違って、少子化ということもあってか、「頭のいい子が行く」「お金持ちが行く」というだけじゃなくなってきています。
ただただ「公立中に通わせたくない」「環境のいいところで学ばせたい」というご家庭もありますし、私立大の定員厳格化によって、系列大学に行きやすい附属高校・付属中学の人気が高くなっているとも言われていますし・・・。
さらにいうと、奨学金制度を前面に押し出す中学もありますよね。
過去には中学受験というのは、優秀な子が上位校を受験して、ダメなら公立・・・というのも結構ありましたので、「いやいや、それなら奨学金出すからウチ来てよ」という私立中も出てくるわけです。
また、名電中や愛知中などは偏差値自体はそこまで高くない中学なので、「とりあえず受験」というのもあるなど、「落ちても公立中学でいいか」という方の受験もあります。
そういう人が「奨学金もらえるなら私立中でいいか」となるわけです。
私立中学としても、少しでも優秀な生徒に来てもらった方が、学校の底上げ(=進学実績の向上)になりますからね。
名電中人気の理由
愛工大名電中なんて、一般(4教科受験)の他に、奨学生A(4教科)と奨学生B(算数+選択)というのを設けていて、一般と奨学生ABは別日に受験し、両方を受けられます。
奨学金がもらえる(いくらかは不明)奨学生ABの試験があるのは、上位中学を受験する子の「前受け(すべり止め)」みたいになっていたりもするそうで、必然的にレベルの高い子が集まるようです。
なので、東海とか滝とか南山男子とか受けつつ、愛工大名電中の奨学生を受験するのです。
ちなみに一般は2回開催しますから、名電中に行きたい子は最大3回受験が出来るのでチャンス多数!
・・・必然的に倍率上がりますよね。
すべて別の人としてカウントするのか定かではありませんが、もしそうなら倍率が高く出るのも仕方ありません。
この辺とても、商売上手というか、私立学校ならではの必死さが伺えます。
名古屋中学とかも、東海とか滝のすべり止め扱いですけど、とにかくそれでも優秀な学生に来てほしい!と思う学校はどこも同じ。
そういった事情で倍率が高くなりやすい高校となりにくい高校があって、名電中はまさに最高の条件がそろってる(ようにしてる?)わけです。
そのため、倍率の高さだけをもって「一番人気」とは言えませんが、背景がわかるとよくわかります。
つまり、学校の経営手腕が凄いと言うことですね。
名電は高校も人気ですもんね、昔とは違って。
しかも凄いのは、奨学生をとったから、東海や滝が受かっていたのに名電中に行った子もいるようなので、設備のスゴさとか、ものづくり的な授業とか、「ただのお勉強」じゃないところをアピールしているのも響いているんでしょうね。
私立中受験も情報戦!
全体的に私立中受験というものが、昔と違って、「戦略的」になってきているのがよくわかりますよね。
子どもは少なくなっているのに、私立中受験を目指すという塾も結構ありますし、そういう塾に通っている方が有利なのは言うまでもありません。
『二月の勝者』でも、「塾は情報を買うところ」「中学受験は課金ゲー」と言っていましたが、まさにそれが加速していくんだなぁと。
経済的にそういう塾に通わせることもできない子はどうしたら?
・・・ということで期待されるのが、公立の中高一貫校です。
こちらはこちらで、他の県での実績を踏まえて、導入する時はおおよそ
10倍の倍率が予想されています。
ただただ受験しただけで受かる、なんて甘いことはまず起こらないので、結局対策しないとダメだし、それには結局塾の力が必要、という形で塾のマーケティングが始まるワケなんで、本当に「課金ゲー」みたいになって来たなと思います。
子どもたちに理想的な環境で教育を受けさせようという、国の予算が付かない限りはこうならざるを得ないのも現実ではありますが・・・