小学算数の中で、難しい単元は何かというと、「速さ」「図形」などが上がりますが、もっとも難しい単元として一番出てくるのが、パーセントなどを取り扱う「割合」ではないでしょうか?
にもかかわらず、肌感覚ですが、半分以上の子が、割合をカンペキに理解しているとは言いがたい現実があります。
むしろ、割合をカンペキに理解している子は凄いです!
そういった現実がある上、税金やら金利やら何やら、大人になったら日常的に割合を使うにもかかわらず、その状態が放置されがちです。
子ども自体が勉強したがらないのが一番かもしれませんが💦
ですが、それは後々のことを考えるとかなり危険です。
大人になってからはもちろんのこと、中学・高校数学でも、割合がわかっていないと解けない問題(とくに方程式とか)が多々あるからです。
「密度」「質量パーセント濃度」など、理科の計算問題も割合がいくつも出てきます。
しかも、割合は、小学校で習うほとんどの要素が詰め込まれているといっても過言ではありません。
小数、分数はもちろんのこと、足し算引き算、かけ算わり算、比、長さ、面積、体積、大きな数など、図形以外のほとんどの知識が必要です。
つまり、小学算数の割合ができないのに放置しておくのは、「百害あって一利なし」なのです。
割合を理解する重要性
そこで、今年の夏は、夏期講習として「割合マスター」をすることにしました。
それだけ、割合でつまずいた上で困っている子をたくさん見てきたからです。
そもそも、割合が難しいのは、実体のない「概念」だからです。
だから、根本的に「割合とは何か」というものを理解していないと、自由自在に使いこなすことはできません。
ですから、その割合の「概念」を理解しないと始まらないし、あれこれアドバイスしても、身にならない。
なぜなら、割合とはそもそも何なのか?
ということが「知って」いるレベルではなく、「わかって」いるレベルじゃないと、必要に応じて使えるようにはなりません。
サッカーのルールを知ったからといって、誰でもゴールが決められるわけではないですよね?
しかも、割合の問題は、中学の数学でおぼえる「xを使った方程式」を使えば、多くの場合解けますが、小学算数では、xを使わずに解かなければなりません。
なんでそんな面倒くさいことをするかというと、割合の概念を理解してもらうためです。
でも、それは実はかなり難しい。
割合は実際に存在する数(自然数)ではなく、分数などと同じく人間がアタマの中で作り出したものだからです。
アタマの中でイメージできなければ、理解できないのです。
大人だと、税金や利率など、割合に日常に触れていますが、小学生が割合に触れるのはゲームくらいしかないですしね。
今は「くもわの公式」を使って割合を教える?
割合の概念を理解させなければいけない理由もあるにはあるのですが、なかなか、普通のやり方でそれを身につく子ばかりではありません。
そのため、今は、(おそらく塾生まれの)「くもわ」の公式というものを使って割合を教える先生もいます。
くもわの公式とは
「くらべる量」「もとにする量」「割合(わりあい)」の関係を、速度の公式(みはじ・はじき)のように、てんとう虫状にまとめたもの。
たとえば、「あるお店でケーキを80個作ります、今日は70%が売れました。何個売れましたか」という問題であれば、「もとにする量:80個」「割合:70%」と読み取れるので、「も×わ」で、80×0.7=56個。という風に出せるわけです。超便利ですよね。
ただ、これも欠点があって、「あるお店でケーキを80個作ります、昨日は68個売れました。これは作ったケーキの何%ですか」という問題になったらどうでしょう?
割合を求める計算なので、「く÷も」で解けばいいとなりますが、どちらが「く」でどちらが「も」になるのか?ということで混乱する子も多いという欠点があります。
かなり便利ですが、問題文からそれらがどれに当てはまるかを読み取れる能力が必要、というわけです。
くもわの公式を使う・使わないの是非は色々あるのですが、理解に差がある集団に対して手軽に教えられる反面、本質的な理解が浅くなるということで、算数が本職の先生は教えない傾向があるように感じます。
実際、寺子屋でも、わからない時だけ来る子とかもいますので、その時だけ教えるときは「くもわ」を使って手っ取り早く割合を教えるのに使いますが、これだと理解が浅いのは事実ですし、先ほどの例題のような単純な問題文にしか使えません。
そのため、じっくり時間をかけて、「割合の概念」を理解してもらいつつ、実際に割合の問題が解けるようになる授業をすることにしました。
それが、夏期講習「割合マスター」です。
夏期講習「小学割合マスター」
割合マスターは、特別授業としては珍しい、3コマ授業です。
本当は4コマしたかったのですが、中学受験組でもない寺子屋の子たちにはちょっとハードルが高いので、3コマにしました。
対象は基本的に小6ですが、「楽しく」「体で」学ぶアクティブラーニングで学ぶため、小5でもある程度理解できると思います。
とはいえ、子どもは勉強なんかしたくありませんから、「割合わかるし」と言って行きたがらないということもあるでしょう。
割合の問題は、テキトーに計算して答えが合うこともあるので、「単なるミス」と勘違いしている子が多々いるので注意です。
そこで、どれくらいなら「割合がわかる」と言えるかということで、チェックのための問題を用意しました。
(印刷バージョンはこちら)
これらの内、③、④は、テンプレ問題ではないので、いつも単純に当てはめているだけの子は悩むことが多いかもしれません(特に④は割合以外の概念の理解も必要!)。
単純にくもわの公式に当てはめられませんしね。
しかし、割合とは何か、割合を使った計算はどうすればいいのか、ということがわかっていれば解ける問題です。
もちろん、紙を使って計算して大丈夫ですよ。
でも、大事なのは、この「割合の本質」を理解することです。
それができないのに、「くもわの公式」などをおぼえても、使いこなせません。
文章題の読み取りが正確にできないからです。
そういう意味で、「割合マスター」のゴールは、「くもわ」の公式のような「テクニック」を学ぶ前に、割合というものがどういうものか、本質的な所から、体で理解することとしています。
できたら多くの子に参加してほしいですね。
問題の答え
先ほどの問題の答えは以下となります。
➀ 200円
② 100万円
③ 5%少なくなった
④ 45キロ
解説は割合マスターで。