寺子屋の学び

ICT教材《eboard》を導入しました

鳥羽見寺子屋では、多くの塾や学校で導入されている「eboard(いーぼーど)」を導入しました。

寺子屋に限らず、
勉強の成果を決める大きな要素は家での取り組みです。

勉強が苦手な子はそこが出来ていない子が多いのですが、「方法」を教えても実際に続けるというのは難しいのも現実です。

特に、「復習」「反復演習」を続けてやるには、それ相応の動機付けが必要になり、それができないからこそ成績が伸びないという悪循環になりがちです。

カンタンに言うと、復習しきれないので、定着しないから、テストで力が出せないのです。

寺子屋に来る子は、「勉強が嫌い」という子もいますので、そういう子たちでも家でなんとか「復習(可能なら予習も)」ができないかと昨年から色々なICT教材を物色していましたが、ようやく「勉強が嫌い・苦手」な子どもたちでも、(コチラがサポートしながら)続けられそうな教材が見つかりました。

〔eboardについて〕

「教育格差」の是正を目指すNPO法人eboardの、Webを使った教育ツールで、学校・塾などで使われています(eラーニングアワード文科大臣賞受賞)。

主な機能

動画授業とWeb問題

  • 短めでわかりやすい動画授業
    • 顔が出ないので画面に集中できる
    • 講師は語りがやさしく、わかりやすく説明してくれる関西人です
    • 動画を見なくてもやれるし、つまずいた問題から動画に戻ることも出来る
  • 確認問題が動画の続きでやれる上、どこまでやったかがわかりやすい
  • 「できた」「できてない」「やった」「やってない」など学習状況や苦手も視覚化されてわかりやすい

幅広い対象範囲

  • 小学校4教科、中学校5教科対応(小学国語は漢字のみ
  • 小1~中3まで対応し、全学年見られるので、下の学年の復習も可能
  • ネットブラウザを使いアプリ不要なのでマルチデバイス(PC・タブレット・スマホOK)

くり返し学習がしやすい

  • Web問題は何度でもくり返してやることが可能
    ※単元の最終チェックテストのみ、定着を促すため時間が経たないと再度できない仕様になっている
  • 小学生算数・漢字、中学生全教科は連携したプリント教材(上表のテキスト教材)も使える(寺子屋で印刷してやることも可能)
  • プリントにはQRコードがついており、解説動画に戻ることも可能
  • 中学生用の「動画ノート」は要点をまとめた形のプリントで復習がしやすい

    中学歴史の動画ノート(プリント)の一部

eboardの注意点

  • 「教科書準拠」じゃない
    • 国語・英語は著作権の関係のため本文に対応せず。古文・漢文・漢字・文法は対応
    • ほかの教科も教科書と順番が一致しないことがある
  • 小学生の英語は対応していない
  • 小学生の国語は漢字(の読み)のみ
  • 中学生の英語にリスニングがない
  • はやりのAI提案はない
  • 思考力を問う問題には対応できない(そこはデジタル教材共通)

「単体」で利用すると結構なネックですが、いずれも寺子屋でその辺は補うことができます。必要に応じて教材を購入してもらう場合もありますが、プリントで対応できるものは今まで通りプリントを使います。

いずれにせよ、どんな教材も、本人のやる気だけに任せていては進まない子がほとんどです。

ですから、負担なく続けやすい教材であっても、きちんとした「使い方」を決めておいたが続けられやすいです

《eboard》の活用方法

テスト対策として

eboardの問題数はそこまで多くはありませんが、要点を絞った形になっているので、テストに出やすい問題の練習が出来ます。

ICT教材の性質上、思考力を問う問題は対応しませんが、そもそもそれは成績上位者向けで、少なくとも、通常の問題であれば、eboardで問題文をしっかり読んで学習するだけで、テストでそれなりに良い点がとれるということになり、テスト勉強はもちろん、テスト直前のチェックとして使うこともできます。

とくに、Web問題は何回でも出来、選択問題は毎回場所が変わるため、反復練習が必要なのにやりたがらない子には向いています

参考までに、eboardの社会科の学習範囲(歴史、第一次大戦)で、定期テストではどれくらい出題されたのかをちょっと見てみましたが、12問中、eboardの問題(Web・プリント)と同じ答えが求められたものが83%で、問題文に書かれていたことが問われているものを入れればほぼ100%、eboardで学習する内容が出ていました。

社会科中間テスト(中3)より(第一次世界大戦の関連部分)

  1. 第一次大戦のキッカケとなった都市は?
    Web問題、プリント記載
  2. 1の都市がある半島名は?
    Web問題、プリント記載
  3. 2の半島は別名?
    Web問題プリント問題
  4. 1919年にドイツで制定された憲法は?
    Web問題プリント問題
  5. 4の憲法で間違っているものは?
    ⇒Web問題文に記載、プリント記載
  6. レーニン(写真)が新政府を樹立した革命
    Web問題プリント問題
  7. 6はどのような国作りを目指したか
    Web問題、プリント記載
  8. ロシアはどっちの「三国○○」だったか?
    Web問題プリント問題
  9. 第一次大戦で日本が参加した理由は?
    Web問題プリント問題
  10. 第一次大戦で使用された新兵器は?
    Web問題(ただし潜水艦記述なし*)
    *消去法で正答できます
  11. ベルサイユ条約の内容は?
    Web問題
  12. 国際連盟とは?(史上初が正答)
    ⇒Web問題文に記載

・・・というように、学校の定期テスト問題と、「Web問題」もしくは「プリント問題」と答えが同じのものがほとんどで、同じ問題ではなくても、問題文に記載してある内容が問われるものもありました。もちろんいずれもすべて「動画授業」でも説明があります

ちなみにeboardは問題数がそう多くなく、要点を絞った問題のなかでこれだけ正答できるのですから、eboardの動画授業で学習した後に、問題文をしっかり読みながらWeb問題をくり返しやり、その後にプリントをしっかりと読みながら問題をやるだけで、テストで良い点がとれる、ということになります。

子どもは「やった」と「定着した」の違いを理解していないことが多いので、動画授業⇒Web問題⇒プリントと反復できる勉強で、定着度を高めることができます(なお、Web問題は何回でもできます※)。

くり返し解ける問題

eboardはわりと基礎的な内容で、語句をえらぶ、選択肢をえらぶ、という問題の場合、適当にやってもOKになってしまうことがあります。しかし、そういった場合は、利用者が確認できる「学びデータ」で問題の正答率を確認することで、「問題はやった」けど、実は定着していない、というのを見つけるのにも役立ちます。


正答率が50%を切るような単元は、完全に定着ができていないので、テストではほぼできないと思ってもらって構いません。

学校の復習として

eboardは、要点だけがまとまった授業動画がついてきて、学校の授業でよくわからなかった部分をしっかり補完してくれ、そのすぐ後に問題ができます。

逆に、授業動画を見なくても問題ができます。

なので、問題を取り組みながら、わからないものにぶつかった時に動画を見る、といったこともできる(下図B)ため、子どもが負担なく勉強しやすいです(理想は動画を見てほしいですけどね)。

また、プリント※も印刷出来ますので、演習を重ねることもできます。
※小学生は算数と漢字のみ。中学校は全教科

授業の予習として

予習の場合は、必ず動画を見た方がいいです。

世の中にはわかりやすいYouTube授業がたくさんありますが、長いものもあったり、問題を書き写したりプリントしなければならないものもあります。

eboardの場合、比較的短めの動画を見た後にそのままの流れで問題ができますので、気軽に予習ができます。

(有料版の場合、「動画ノート」を使いながら勉強することも可能です)

また、Web問題でつまずいたところがわかっていないところですから、動画授業を見直すか、学校の授業を真剣に聞く意識になります。

学校を休んだ時用に

学校を休みがちな子の、授業の補講のような形で使う事もできます(本来は学校がするべきと思うのですが…)。

実際に、eboardは不登校の子の学習に導入している自治体もあり、動画授業があるので、「人間関係が難しく、学校に行かなくても、勉強は大事だからしようね」というのがしやすいです。

また、このご時世、熱が出ると数日休まないといけなかったりで結構遅れる子も出ていると聞きます。そういった時にも役立つと思います。

もちろん普段は「復習用」なり「予習用」なりの習慣をつけておけば、いざ休んだ時でもすんなりやれるでしょうね。

寺子屋で

寺子屋に定期的に通っている子には、他に通信教材などをやっていない場合はこちらでアカウントを発行して、寺子屋での勉強で活用させることもできます(している子もいます)。

いずれにせよ、寺子屋の時間内では全単元の勉強はしきれないので、得意科目に関しては家で、苦手科目を寺子屋でやって、わからないところをメンターに聞きながら解消していく、という使い方がベストな形かなと思います。

料金

現状、たくさん利用者が集まっているわけではないので、

小1~4:税込600円/月
小5~6:税込800円/月
中学生:税込1,000円/月

となります。

《eboard》についてのQ&A

【料金について】

Q.料金は1教科の値段ですか?

A.いいえ、1人いくらの料金です。
対応する教科数は学年ごとに異なりますので(下表)、料金も学年ごと設定させていただきますが、教科ごとの料金ではなく、あくまでも1人いくらです。

eboard公式サイトより

【サービスについて】

Q.タブレットが必要でしょうか?

A.なくても大丈夫です。
インターネットを見るアプリ(ブラウザ)を使うサービスで、スマホ(iPhone、Android)、パソコン(Windows、Mac)があれば端末はなんでも大丈夫です(スマホでも画面サイズを合わせてくれます)。操作も簡単です。

スマホの注意点

スマホと一部のタブレット(7インチ以下)だと、「学びデータ(後述)」の確認ができず、また、「見直しふせん」機能が使えません。
※見直しふせん…わからない問題を印づける機能で、家でそれをつけて、後で復習するとか、寺子屋でメンターに見せてくれればそこでレクチャーしたりといったこともできます。

Q.家でも出来るのでしょうか?

A.ネット環境があればできます。
IDとパスワードを発行しますので、どの端末でやっても、IDにひもずいて学習履歴が反映されます。なので、たとえば、寺子屋でアドバイスを聞きながら苦手な数学をやって、家では得意な社会をやる、の様な使い方もできます。学力によっては寺子屋にほぼ来ずに完結することもできると思います。
なお、寺子屋ではタブレット2台とPC1台を用意し、そちらでやってもらいます(イヤホンはお持ちください)。全員分ないかもしれませんが、今の所全員が同時に寺子屋ではやらないだろうと思っています(使ってないタブレットがあったら寄付をお願いします…)。

Q.お試しはできますか?

A.できます。
①実は、動画を見る、問題をやる、というだけであれば、eboardのサイトに行けば誰でも無料で、登録不要でできます。ただし、履歴は残らないため、どこまでやったかもわからないので戻り学習がしづらいですし、ハッキリ言って続けるモチベーションが生まれないです。自己管理がとてもしっかりしている子なら、無料版でも問題なく使えると思います。そんな子ならそもそもいらないかもしれませんが…。
ただ、無料版だと自分の学びデータ(下図)を見たりすることも出来ません(有料ならできます)。

学びデータとは?

eboard(有料版)のみに入っている機能で、単元ごとに動画の視聴有無、問題の進捗率、問題の直近の正答率が生徒側で確認できます。寺子屋ではこの正答率を70%以上にしてもらうように、くり返し問題にチャレンジしてもらっています。

②寺子屋でお試しアカウントを設定して、本番環境で使う事もでき、実際に数名やってもらっています。導入後もそのアカウントを引き続き使えます。ご相談下さいませ。

Q.親が子どもの学習状況を見ることは出来ますか?

A.一応出来ます。
某社のように「保護者用ID」というのはありませんので、お子さんと同じIDでログインして、学習状況を見ることは可能です。また、ID・パスワードさえあれば、どの端末でも見ることができます。どの問題に何分かかったかなども出ます。

Q.プリント教材がついてくるのですか?

A.ついてきますがちょっとややこしいです。
小学生の場合は、算数・漢字はプリントがありますが、分量は若干少なめです(答えもある)。また、5,6年の理社はプリントがありません。
中学生の場合は、単元ごとに5~6枚プリントが出せます。内容の分量は少なめですが、基礎的でわかりやすいです。ただ、答えはついて来ないので、寺子屋でやる・宿題にする、という使い方になると思います(授業動画の内容なので、授業動画を見ながら答え合わせもできます)。
なお、いずれもQRコード付きで、対応する動画を見られます(問題の解説ではなく、単元の解説動画に飛びます)。

Q.操作は簡単ですか?

A.簡単だと思います。
普段ネットができる方であればできます。文字入力も、「+5」とか「3y」のような簡単なものしかありません。逆に言うと、記述系の問題は選択問題になるため、それは別途トレーニングが必要です。
なお、操作方法についてはこちらに書かれています。

Q.わからない部分の質問などはできるのでしょうか?

A.eboardそのものに「質問」機能はありません。
ですので、わからないことは別途、寺子屋で直接聞いたり、寺子屋の公式LINEを使ったりして質問することもできます。なお、できなかった問題は「?」マークがついたり、「見直しふせん」をつけられますので、それを印としてメンターに質問することも可能です。

Q.高校生は対応していますか?

A.イマイチです。
数学Ⅰだけ対応していますが、今後増える予定は未定とのことです。
現在高校生の方で、数Ⅰ+中学の内容でもいいので使わせたいという方がおられましたら、ご相談下さいませ。

【利用方法について】

Q.どういった利用法がよいですか?

A.「基礎の定着」「復習」に使うのがベストです。ある程度出来る子なら「予習」にも使えます。
なので、ドリルやワークの演習に取り組む前に動画を見て、デジタル問題をやってからドリルやワークをやることで、いきなりドリルやワークをやるよりも、スムーズに問題を解けるようになります(なぜなら、勉強が苦手な子は、紙の解説を読まずに問題に取り組む子がとても多いから)。
また、eboardは、実はどの子でも「全学年分」見られるので、高校受験を控えている子、下の学年の単元の定着が不安な子は、その単元の復習をeboardですれば、効率よく復習することが出来ます(AIじゃないので地力ですが、寺子屋に来ていればこちらでオススメはします)。

Q.どんな子に向いていますか?

A.基礎が足りない子に最適です。
逆に、誰がどう見ても勉強が出来る、難しい問題をひたすらやりたいという子には物足りないと思いますが、それ以外の子には、最適なツールかなと思います。
また、勉強がそこそこ出来る子であれば、授業の予習や息抜き感覚でチェックするといったことができますし、勉強が苦手な子の場合は、くり返し解けるまでやる、という使い方になります。
問題数が多くなく、勉強が得意な子の場合はeboardでは物足りないため、他の演習教材とかの方が合っているでしょうね。

Q.寺子屋と自宅学習をどうしたらいいでしょう?

A.ご相談ください。
お子さん次第にはなりますが、基本的にはおうちで全部やってもらっても構いません。
「演習」が少なめなので、家で基礎を固め、寺子屋では演習用にプリントをする、という使い方が理想です(eboardにないプリントはコチラで用意します)。中学生の場合は、演習が「ワーク」になるかもしれませんが、教科によってはプリントを出すこともできます。
家でやらずに寺子屋で・・・ということももちろん可能です。特に勉強が苦手な子の場合、教科によってはサポートしながらやった方がいい場合もありますので・・・。
塾によっては、80分授業の30分をeboardに充てる、というような使い方をしているところもあるそうですので、寺子屋で2コマ利用の方はそういう利用もよいと思います。

Q.子どもが続けてやれるでしょうか?

A.わかりません笑。ただ、サポートしながらやれば続けられると思います
実際に寺子屋で試しにやってもらっている子を見ていますが、問題ができないからといってやめずに「どうしたらいい?」ということを素直に聞いてきますので、こういう「学びチャンス」を逃さないようにやれば続けられると思います。
また、eboardの仕組みで、答えが正当じゃない場合は飛ばすことも出来ますが、「?」が残り続けるので、ゲームのようにそれを「クリア」しようという動機付けが働くようで、言わずとも再チャレンジしてくれたりしています。正直、これがeboard導入の決め手です。

問題ごとにヒントor解説動画への誘導がついているので、結果的に授業動画を見ることが多くなります。
※追記:2022年度より、寺子屋で教科書と対応させた進捗管理表を作りましたので、そちらを使って進捗を管理することも可能です。

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【その他】

Q.注意点はありますか?

A.やる仕組み作りが大切です。
放っておくとやらない可能性がありますので、本人のやる気を削がない程度にサポートしていく必要があります。
また、問題数がそんなに多くないので、「もっとやりたい」という人には物足りないと思います。
一番簡単なのは「寺子屋でやってこい」です。

※追記:2022年度より、寺子屋で教科書と対応させた進捗管理表を作りましたので、そちらを使って進捗を管理することも可能です。

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Q.導入目的は何ですか?

A.とにかく、まずはeboardの内容くらいは必ず理解しよう!というのが本音です。
基礎がないと応用問題にとても苦労しますので。「勉強嫌い」という人にこそ、やっていただきたいです。
なので、採算度外視で導入しますが、少しでも利用者を増やしたいので、正直、寺子屋にたまにしか来ない方でも、eboardを使っていただいても構いません
その場合、親御さんが学習履歴を見たり、やっているときにサポートしながらやるといいでしょう。とにかく、「わからないままでは終わらない」仕組みのため、市販のドリルをやらせるだけよりは学習効果が上がることが期待できます。

  • この記事を書いた人

メンター 田中聖斗

名古屋市守山区で地域の学び舎『鳥羽見寺子屋』を主宰。塾に行けない・行きたくない子の学習指導や、子どもたちの学びを促す特別授業をやっています。子どもたちに寄りそうことを重視し、どんな子でも受け入れています。作家・企画屋・家庭教育アドバイザー・教材開発者です。花粉症の舌禍免疫中のため、現在は年中メガネです。

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