先週のお話。
鳥羽見寺子屋の会場である、鳥羽見コミュニティセンターの1階入口には、チェリオの自販機があります。
以前はコカ・コーラ社の自販機が置かれていましたが、利用者が少なく(ペットボトルが160円じゃ高齢者は買わない)、利用料も高いということで撤去され、こちらとしては「子どもがないと困るので安いのでもいいのでもう一度置いてほしい」と要望を出してもなかなか再設置されなかったのですが、一昨年、「すべて100円」でおなじみのチェリオの自販機が設置されました。
なんといってもチェリオはペットボトルも缶もすべて100円、1コインでいいという手軽さから、子どもも高齢者も気やすく買えるようになりました。
まぁ、メジャーな飲み物が少なく、子どもには物足りなさを感じることもあるようですが・・・近くに自販機がないだけに、寺子屋に来る子も、3時間とか4時間とか勉強することか、暑い真夏とかで飲料を買えるので助かります(結構「のど渇いた」となるお子さんが多いので、お子さんのカバンに100円入れておいていただけると助かります)。
さて、そんな自販機に最近、おかしなものが置かれるようになったんですね。
「すべて100円」の中で、
500円で販売されている栄養ドリンクらしき謎の商品。
その名も「次世代飲料 CBDX」。
・・・名前だけでもアヤシイですね。
バイクの名前かのようで、およそ飲料の名前とは思えない。
煽りも凄いですね、「新しい世界へ」。次世代の自販機は500円がデフォルトなのでしょうか??
コミセンに来る人の多くは、地域の高齢者か、子どもがほとんど。
「ネタ」が好きなビジネス街の若い人が来るような所ではないので、これをここで買う人なんていないよな~と思って、とても買う気にもなれず放置していたある日、寺子屋に来た子が開口一番、冒頭のセリフを言ったのです。
「メンター知ってる?ここの入口で売ってるドリンク、大麻入ってるんだって」
「なんだって??」
「あの下の500円のやつ、大麻入ってるらしいよ」
「いやいや、そんなことあるわけないでしょ」
「だって、そうやって書いてあったもん。大麻の茎?とかを使っているから大丈夫なんだって」
「あー、たしか大麻草は葉っぱに麻薬成分があるから・・・でも、茎ならいいのか?」
・・・ということで一緒にパソコンで検索。
気になったことはすぐ調べる、大事です。
こういったものの方が記憶に残りますからね。
で、調べた結果、どうも、大麻草の茎に含まれる、CBD(カンナビジオール)という成分が、なにやら注目の成分だそうで、依存性はなく、本来は「てんかん」「社会不安障害」などに効果があるそうで、最近は美容液などにも配合されたりすることもあるとか。
自販機もよく見ると、プロモーションスペースにデカデカとCBDXの説明が。
ストレスフルな仕事モードからの切り替えに、パーティーでのスムーズなコミュニケーションに、グルーヴを体の芯で感じたいシーンで、ゆったりしたい一日の終わりに。「CBDX」はあなたを解放するパートナーです。
「仕事モード」とか「パーティーでのスムーズなコミュニケーション」とか「グルーヴを体の芯で感じたい」とか「あなたを解放」とか、おおよそコミセンに来る、年金暮らしの高齢者や、小中学生の子どもたちに無縁な言葉が並びます。
一体誰に何を訴えかけているのでしょう?
よほど売れていないのでしょうか?
たしかに500円ではSNSでバズらないとダメでしょうが、バズった形跡が皆無なので、きっと在庫処分なんだろうなと勝手に想像しますが・・・。
それにしても、冒頭の「大麻入り」については、たしかに※印でなにやら書いてありましたね。全然気づきませんでしたが。
※本製品に配合されているCBD(カンナビジオール)は大麻草の成熟した茎から抽出・製造された成分です。大麻取締法上の「大麻」には該当しません
※日本の法律に従い輸入された原料を使用し、第三者機関でTHC不検出を確認することで、違法性、及び安全と品質を確保しています。
・・・とのこと。
説明上にある「THC」というのは「テトラヒドロカンナビノール」の略で、いわゆる大麻が危険だとされる原因となる「幻覚成分」のことです。
なんか「カンナビジオール(CBD)」と響きが似ていますが、それは大麻草が「カンナビス・サティバ・エル」という名前で、両方とも大麻の主成分だからそこから来ているだけで、CBDは「大丈夫な大麻」だけど、THCは「危険な大麻」扱いにするよ、というのが現行の日本の法律(大麻取締法)。
ひとくちに「大麻」と言っても、全部NGというわけじゃないんですね。
そもそも大麻自体、日本でも昔から神事に使う「しめ縄」などの原料として使われているもので、大麻取締法でも、都道府県知事がOKを出せば栽培が可能です(大麻取締法第2条)が、盗難対策をしないといけなかったり、大変だそうです。それでも古来より「大麻」は麻製品や漢方薬として使われていたので、「大麻=悪」と簡単に切り捨てるのはよくない、ということですね。
ちなみに近年話題のスーパーフード、「ヘンプシード」も、大麻草(ヘンプ)の「種(シード)」を使っているので、「茎」を使っているCBDX同様に問題なし、ということです。
とはいえ、「茎」だから本当に大丈夫といえるのか?と不安になるのも事実。
実際、「麻薬Gメン」のいる厚生労働省の麻薬取締部(マトリ)にもCBDは問題ないけど、CBD製品と言いつつTHCも入っているのがあるから、困ったら相談してね!というようなことが書いてありました。
目指すのは、安全な日常と健やかな社会。THE NARCOTICS AGENT 麻薬取締官
次世代成分「CBD」だからこそ、それを標榜しつつ、THCも入っていたら完全なる麻薬ということになりますからね。
なお、チェリオのCBDX紹介ページによると、
[ 1. 話題の次世代成分CBDを一缶(250ml)あたり20mg配合 ]
次世代成分として世界から注目されているCBDを20mg配合しました。[ 2. 楽園を身近に、微炭酸とフルーティーハーブフレーバーの組み合わせで飲みやすく仕上げました ]
さまざまなシーンでも飲みやすい微炭酸にしました。楽園を感じられるフルーティーハーブのフレーバー。爽やかなトップの香り、口の中でほのかに続く味の余韻は、皆さまを新しい世界へ導きます。[ 3.飲むだけでリフレッシュ ]
缶を開けて飲むだけで簡単リフレッシュ。ストレスフルな仕事モードからの切り替えに、パーティーでのスムーズなコミュニケーションに、グルーヴを体の芯で感じたいシーンで、ゆったりしたい1日の終わりに。「CBDX」はあなたを解放するパートナーです。(CBDX公式サイトより。太字はこちらで追加)
という感じで、なんとな~く、「狙ってんの?」みたいな書き方。
逆に麻薬成分があるっぽく感じさせてしまうような・・・。
YouTubeとかで実際に買った人のレビューとかもありましたが、この缶のデザインもプリントではなく、「ラベルシール」が貼ってあるだけっていうのもうさんくさいし、CBDXの公式サイトは、なぜかCMでおなじみの無料でショッピングサイトが作れるWebサービス「BASE(ベイス)」で作られているし、とにかくうさんくさい(いつでも撤収できるような感じ?)。
なんにせよ、うさんくささが抜けないので、未だに私は500円のボタンを押せずにいます。