鳥羽見寺子屋で導入しているICT教材「eboard」。
映像授業とデジタルドリルで学べるICT教材eboard(イーボード):NPO法人eboard|映像授業とデジタル問題集で基礎から学べる
eboard(イーボード)は、NPO法人eboardが運営する無料のオンラインICT教材です。小中学校5教科(国語・数学・理科・社会・英語)をカバーする2,000本の映像授業と10,000問のデジタルドリルで基礎から学習ができます。
ICT教材(デジタル教材)は、動画授業だけのコンテンツ、問題だけのコンテンツというのは結構あるのですが、eboardの場合は動画授業+問題+プリント※までついて来て、教材として一つで完結しているのが非常に使いやすいです(チャレンジや高い塾が導入しているatama+みたいなAIはないですが)。
※寺子屋では有料版を使っているのでプリントが使えますが、無料版ではありません
しかも内容がとても基礎的で、普段勉強しない子の多い寺子屋の子にちょうどよい教材なのですが、欠点は、元々がビジネス用に開発されたものではないので、塾用教材と比べて生徒管理の部分(特に進捗管理)に課題があります。
ICT(デジタル)教材の欠点
いや、eboardも「どの子がどの単元をどれくらいやって、どれくらいの正答率か」というのを、本人もそうですが、eboardの管理画面ではこちらが見ることは可能です(下図)が、そもそも、やるべきところに至るまでに「やってもらう」ということが難しい子も少なくありません。
(「チャレンジ/チャレンジタッチをやらない子」と同じ現象ですね💦)
そのため、お持ちのスマホにタスク管理ツールのアプリを入れてもらって使ってやろうかと思いましたが、それはそれで色々面倒だし、小学生の場合は個人用スマホを持っていなかったりするので、その辺でも運用がしにくいというのもあります。
なにより、デジタルツールは、管理するという面からはわかりやすくていいのですが、いざ子どもに学習させるという面から見ると、人間がアナログで直接やらせた方が子どもは絶対やるんですよね。
デジタルなものはAIだろうがなんだろうがしょせん機械なんで、「○○なんで、頑張りましょうね!」みたいなメッセージが自動で出ようが、最初はよくても、子どもの感情を理解していないので、AIの言うことなんか聞かなくなります(だから「塾」というビジネスはなくならないのですが!)。
もっとも、本人の学習意欲が高ければ別で、そういう子はデジタルと相性いいですね。苦手を自分で見つけられないのでAIで出してもらって、それに取り組む、といったことができますし、そういう子はぶっちゃけ、無料の塾チャンネルとかですみますしねぇ・・・。
そもそも、それができたら親御さんは悩みませんよね笑。
勉強してくれないから困っているわけで。
特に小中学生は、進路に対する強い動機付けが生まれないので、行きたい大学が明確な高校生と違って、こういう「自習支援型」ツールだけで勉強できる子は少ないでしょう、残念ですが。
逆に言えば、進路に強い動機付けをつけられたら、先ほどの塾チャンネルや市販の教材だけなど、お金を大してかけずに済ますこともできます。
eboardの学習効率&モチベUPのための取り組み
ちょっと話がそれたので、eboardの話に戻します。
eboardに限らずだいたいこういうデジタル教材は、文科省の定めた「学習指導要領」に対応しているので内容は教科書でやる内容と変わらないものの、出版社によって出てくる順番が違っていたり、単元名が違うということがチラホラあります。
ちなみにデジタル教材でも、「教科書対応」と謳っているものも、だいたいは、中学校で配布される「完全準拠ワーク」などと異なり、表現や見本(生物なら取り扱う生き物)が完全一致するわけではなく、教科書を選ぶと、単元の順番を並び替えてくれるだけです(すべてをチェックしたわけではないですが、システム上そうするしかできないと思います)。
eboardの場合は、利用料が安いこともあって教科書準拠ではないので、単元が、学校で使う教科書と出てくる順番が違うんですね。
昨年度使ってて、子どもの立場からすると、「今、学校ではどの単元をやっていて、eboardではどこをやるのか?」というのが非常にわかりにくかったというのもあります。
(別に学年内の単元は同じなので、順番通りにやればOKなのですが、なかなかそういう子は少ないですよね)
そういったわけで、今年から、教科書とeboardを対応させて、なおかつ進捗管理も「アナログ」でやることを考えました。
実は、一般に公開されている情報ですが、教科書会社はそれぞれ、「この教科書はだいたい年間で、この単元をこの辺をやってくださいね」という目安というか、学校の先生が年間計画を作るための「見本」があります(下記リンクが例。実は評価基準見本も公開されている)。
2020年度用 算数 カリキュラム作成資料(ダウンロード資料) | 小学校 | 啓林館
理数教育で知の世界を切り拓く新興出版社啓林館のウェブサイトです。小中高の教科書とその周辺教材、教科書準拠教材、児童書を発刊しています。先生用の資料をウェブに豊富に掲載中です。
これに基づき、
何月は教科書のどの単元で、
教科書のページ数はどこからどこまでで、
eboardの対応する中単元はどれで、
eboardの小単元がいくつあって、
どこまでeboardの授業視聴&問題をやったか、
・・・というのを教科ごとに一覧にした管理表を作りました。これを、寺子屋ノートに貼ります。
(実際の学校は、行事などがあるため基準月が若干異なるとは思います)
「eboardサポートくん」で進捗管理
こうすることで、寺子屋に来た時にこちらで進捗と照らし合わせて、進捗が悪い場合は寺子屋でやらせたり、「家でこれをやれ」とプレッシャーをかけたりすることもできます😁。
今までは口答で終わりましたが、具体的にどこをどうやるのか明確にできるので、動機付けしやすくなりました。
さらに、一行が一単元になっており、小単元すべてが終わり、チェックテストもやって、かつ問題の正答率が70%を超えたときのみ、寺子屋スタンプを押す、という形で運用することにしました。
寺子屋に来る子どもたちは、お渡ししている寺子屋ノートに、毎回勉強する時間分スタンプを押すのですが(1コマ=1スタンプ)、これと同じように、スタンプを集めるのを楽しんでもらえたらなとも思います。
なお、eboardは動画授業があって、その流れで問題をやるため、「予習」としてやってもらうことができるため、そのままだと正答率が低いこともありますから、問題の正答率は低めに設定しています(何度も問題にチャレンジでき、正答すれば正答率は上がるので)。
eboardは、何回も不正解をした問題は印がつくので(上図)、そこを解消しないと正答率が上がりません。なので、こうやって、その子その子が間違えやすい問題を見つけ出し、再挑戦させたり、それでも理解できていない場合はレクチャーしたり、プリント練習したりするきっかけにもできます。
デジタル×アナログのよいところを組み合わせた形ですね。
寺子屋は少人数とはいえ最大6人。
通常2~4人の個別指導よりも人数が多いため、子ども全員の細かい所までチェックできないですし、何より全教科見るのにはスゴい時間(とお金)がかかるのでムリですが、デジタル教材を使うことで効率的に学びを進めつつ、寺子屋では苦手を中心に学習していけるようになるので、そのための取り組みですね。
また、この進捗管理表(eboardサポートくん)により子どもたち本人も、
「いつ、何を勉強するか?」
「どれくらいeboardをやっているのか?」
「どのくらい難しい単元なのか?」
(➡小単元が多いほど解説が多い=難しい単元)
といったことが確認できて、勉強の準備ができたり、テスト対策ができたりします(中学は定期テストの範囲がページ数でお知らせされるため、おさらいが容易)。
また、親御さんも、ノートを見れば、どれくらいやっているのか、やっていないのかというのが明確になりますので、お子さんの「勉強をちゃんとやっている」という言葉の正否がハッキリと視覚化されます笑。
今年はこういった方法で、子どもたちの学習支援を進めたいと思います。
ただ、現在作成中で(小5,6は完成)、中学生と小4以下は来週以降の運用開始になると思いますので、しばらくお待ちください!!
※全学年、進捗管理表は完成しました!
eboardをやりたいという方はメンターまでご連絡ください!!
※ちなみにネーミングですが、私が仕事をする時に作るエクセルデータ名には「○○くん」とつけるためで、特に意味はありません。