高校受験対策

【愛知県公立高校入試改革】新しい校内順位の傾向分析と対策(+尾張エリア対応校)

今年から愛知県公立高校の一般入試で「校内順位」の決定方式が変更になりました。
(詳しくは下記)

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【愛知県公立高校入試改革】新しい「校内順位」決定方式をわかりやすく解説!

今回は、公立高受験の一般入試での合格者を決める「校内順位決定方式」の仕組みと前年度までからの変更点をわかりやすく解説&各学校の採用方式の紹介をしていきます。

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今回は、校内順位の傾向を分析しつつ、各高校がどの方式にしたかをまとめてみたいと思います。

校内順位の選択割合の傾向

その前にまず、全体的な傾向分析から。

愛知県教育委員会の発表した資料では、Ⅰ~Ⅴまでの方式は、以下の表のような割合となりました。

➡元データ:令和5年度一般選抜の面接実施の有無及び校内順位の決定方式

「令和5年度一般選抜の面接実施の有無及び校内順位の決定方式」より

新しく登場した「Ⅳ内申超重視(勝手に命名)」は、採択した高校が全体の7%、普通科に至っては1校のみ・・・。

専門学科向けかと思われましたが、実際は46.8%の専門学科が「Ⅰ均等」を採用しており、「Ⅳ」はかなり少ない結果となりました。

逆に「V当日点超重視(勝手に命名)」は、従来「Ⅲ当日点重視」だった高校の約半数が移行したため、結果的にⅢとⅤの割合が似たような割合になりました。

特に普通科は偏って出ていました

当日点1.5倍の「Ⅲ」が34.3%、当日点2倍の「Ⅴ」が36.1%!と、

まとめると約7割の普通科が、当日点を重視しています(尾張エリアだと8割)。

 

普通科はより「学力重視」になってきた

そもそも、全体的な流れはどうなっているのだろう?

と考えて、10年前から、2年前の2020年、そして今年変更になる分の変化をデータとしてまとめてみました。

※Ⅱ+Ⅳ=内申重視、Ⅲ+Ⅴ=当日重視

10年前と比較して、当日重視を選択する高校の割合が10%以上も増えていることがわかりますね。

逆に減っているのは「Ⅰ均等」です。

そこで、「当日重視」が増えている原因と思われる、普通科のデータを見てみましょう。

10年前と比較して、
「当日重視」が15%も増えています

2年前と比較しても8%ほど増加しています。
(今まで「Ⅰ均等」だったものが「Ⅲ」になったため)

半数が「V」の当日点2倍なので、

つまり、普通科では「当日点重視」「学力重視」の流れが一気に加速したと言えるでしょう。

逆に「均等」「内申重視」が合わせて3割ほどになりました。

さらにこれを尾張エリアにしぼると、

「均等」「内申重視」が2割ほどしかなく、8割近くが当日重視となります。

いずれにせよ、「普通科」を選択する子は、「当日点対策」がより重要になって来た、ということが言えると思います。

逆にこれだと、「内申美人」でテストに弱い子はキツいですね

内申美人とは

テストの結果や偏差値と内申が見合わない(内申の方が見栄えする)こと。マジメな生徒にありがち。

テストの回数も1回になるし、「普通科」に入りたい場合、私立推薦に狙いを絞る、という子が増えるかもしれませんね。

専門学科・総合学科の場合は?

それでは、専門学科(&総合学科)はどういう変化を見せたのでしょうか?

これは面白いことに、「当日重視」も「内申重視」も同じように増えて、

逆に、「均等」が普通科と同じように減っていますね。

「当日重視」が増えているのは、「国際系」「理数系」などの偏差値の高い学科が増えているのも理由の一つとして考えられます。

ただ、それ以外の専門学科では、「内申重視」の割合が「均等」に少しずつ近づいていっているのがわかります。

ただそれでも「均等」が一番ですね。

 

県教育委員会のシミュレーションによると、

この校内順位の計算方法による順位付けは

「9割の生徒には影響がない」そうですが※、

Ⅰ~Ⅴのどの方式を選択するかは各学校の裁量となりますので、

そういう意味で、それぞれの高校を選ぶ際も、全体の流れを踏まえた上で、

「どのような教育方針の学校なのか?」
「今後、どういう学生に来てほしいのか?」

というのを考ながら、各学校の選択方式を見てもらうのもよいかなと思います。

注意ポイント

教育委員会の資料によると、シミュレーション上、内申点と当日点が連動している子がほとんどで、ボーダーライン上の数%の子が、この合計点の順位の影響を受けるとのこと。

 

各校内順位の採用高校まとめ(尾張エリア限定)

それではここからは、実際にどの高校がどの校内順位決定方式を採用しているのか、ご紹介していきます。
※鳥羽見寺子屋のある尾張エリア限定です、スミマセン

高校の分類は、愛知全県模試で選択できる高校・学科の分類に従い、高校データと全県模試の偏差値や内申をExcelにまとめたお手製のデータからぶっこ抜いただけので、どっかでミスがあったらごめんなさい。

  • 太字は名古屋市守山区(新守山)から約1時間圏内
  • 学科が複数あり、方式が違う科がある場合のみ学科名を記載
    (例:旭丘普通→V、美術→Ⅰ)
  • 記載順は愛知全県模試での一昨年度の偏差値順です
    (複数学科があるものは一番上に合わせています)
  • 面接がある高校は*をつけています

「Ⅰ均等」採用校(尾張エリア)

Ⅰ均等型

内申点×2+当日点=合計点

尾張エリアで、「Ⅰ」を採用しているのは以下の高校です。

普通科
鳴海、東郷、大府東、春日井西、豊明、津島北、瀬戸守山*、東浦*、内海*、武豊*

専門学科・総合学科
旭丘(美術)、桃陵、市工芸、一宮(ファッション創造)、愛知総合工科、桜台(ファッション文化)、市工業、岩倉総合、木曽川(総合ビジネス)、一宮工科、愛知商業、大府(生活文化)、知多翔洋、一宮工科、杏和*、一宮商業、瀬戸工科、津島北(商業)、半田農業*、春日井工科、常滑(工業)、名古屋工科緑丘瀬戸北総合*、愛西工科、稲沢緑風館※(農業*)

※稲沢緑風館=現稲沢+稲沢東+尾西が合併

尾張エリアで「Ⅰ均等」方式を採用している普通科は少ないですね。

専門学校には根強い人気がある方式で、ほとんどが今までがⅠならそのまま、という高校が多い(緑丘はⅡ→Ⅰ)。

また、名前を見ていただくとわかりますが、工科高校や商業高校が多めです。

専門学科といえど、内申も当日点もバランス良くとることがカギですね

また、普通科でも「*」印のある面接がある高校が多いのも特徴です。

参考【愛知県公立高校入試改革】一般入試で「面接」をしない高校がほとんどに!?

今年度から、愛知県の公立高校入試制度がいろいろと変更されるのですが、今回、愛知県教育委員会の方から一般選抜試験における、高校別の、「面接」実施の有無についての発表がありました。

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「Ⅱ内申重視」採用校(尾張エリア)

Ⅱ内申重視

内申点×2×1.5+当日点=合計点

内申重視は、尾張エリアでは比較的採用数が少なめです。

普通科
犬山、日進*、海翔*

専門学科・総合学科
古知野、犬山(総合ビジネス)、若宮商業、春日井泉※、佐屋*、南陽、犬山南、海翔(福祉*)

※春日井泉=現春日井商業

ほぼ専門学科・総合学科に集中していますね

その中でも、「福祉」「生活」のような人間性を見たい学校が採用しているのが特徴です。

ただ、名古屋市中心部から離れ、交通の便がよくない所が多い気がします。

なお、こちらも以前がⅡならⅡのままという高校が多かったです(犬山はⅠ→Ⅱ)。

 

「Ⅲ当日重視」採用校(尾張エリア)

Ⅲ当日重視

内申点×2+当日点×1.5=合計点

これまで「Ⅲ」を選択するのは一部をのぞきほぼ普通科だけで、

今回の変更でもそのまま引き続き普通科がほとんどですが、

Ⅲのままでいる所と、Ⅴに変更するところでだいたい半数に分かれました

普通科
千種、横須賀、春日井名古屋西、津島*、高蔵寺長久手中村、尾北、大府、春日井南、緑、木曽川、丹羽、、津島東、阿久比*、富田、山田瀬戸西、常滑、小牧、春日井東、一宮北、美和*、稲沢緑風館、惟信

専門学科・総合学科
瑞陵 食物西陵 総合、尾北(国際教養)、名古屋商業

偏差値50以上の高校の多くは「Ⅴ」に移行していますが、

名古屋市立の西陵・富田・山田、県立の瀬戸西・惟信もⅠ→Ⅲに鞍替えしていますので、

全体的に「もっと学力重視で採っていきたい」という傾向が強くなっています。

なお、寺子屋のある守山区からも通える、

「千種」「春日井」「名古屋西」「高蔵寺」「春日井南」など、

偏差値が50以上の高校でも「V」に移行していない高校も中にはありますので、

「内申美人」の人はこちらの方がやりやすいのかもしれませんね。

 

「Ⅳ内申超重視」採用校(尾張エリア)

Ⅳ内申超重視

内申点×2×2+当日点=合計点

内申を超重視する方式ですが、尾張エリアの普通科ではゼロです。

専門学科もそもそも採用している高校がかなり少ないですね。
(守山区から通うのに適した高校もありません)

普通科
なし

専門学科・総合学科
半田工科、一宮起工科、東海樟風※、半田商業、小牧工科、中川清和※

※東海樟風=旧東海商業(今年変更)
※中川清和=現中川商業(来年変更)

なお、面接を採用するところもゼロですので、

「面接苦手」「テストも苦手」「でも内申はいい」という子が選択肢として入れたいかもしれませんが、

選択肢が少ないので、この「Ⅳ」の方式をあてにして消極的に高校選びするのはあまりオススメできません

「Ⅰ」に次いで工科高校、商業高校が多いのも特徴ですが、

これだけ少ないと、来年度以降、また変える高校があるかもしれませんね。

 

「Ⅴ当日超重視」採用校(尾張エリア限定)

Ⅴ当日超重視型

内申点×2+当日点×2=合計点

当日点を2倍するというとんでもない配点ですが、

残念ながら笑、尾張エリアで最も採用校の多い方式です。

これまで「Ⅲ」だった高校の中でも特に、

偏差値が50以上の高校の大半がこちらに切り替わっています

普通科
旭丘明和、一宮、向陽菊里瑞陵桜台、西春、一宮西、半田、名東、江南、旭野昭和松蔭、五条、名古屋南、天白、一宮興道、一宮南、熱田、東海南、新川、小牧南、半田東

専門学科・総合学科
向陽(国際科学)瑞陵(理数)、名東(国際英語)、明和(音楽)菊里(音楽)

当然と言えば当然ですが、ご覧の通り、ほぼほぼ普通科で、

専門学科といえど、偏差値の高い国際・理数系に限られます
(明和・菊里の「音楽科」でもⅢ→Vになったのは凄いですね)

もちろん、面接があるところはゼロで、完全に「しっかり勉強しろ」というメッセージとも取れますね。

 

校内順位の選択は「高校選びのポイント」?

このように5つに分かれた校内順位変更ですが、

教育委員会の元々の狙いは「各高校が望む生徒をより明確にする」というものでした。

『令和5(2023)年度入試から公立高校の入試制度(全日制課程)が変わります!』より

つまり、それぞれの高校が、どの方式を採用するかは、

どういう生徒に来てほしいのかという「メッセージ」でもあるわけですね。

 

しかし現実問題、

「Ⅳ」を選択する所はかなり少なく、

普通科なんかは全体的な傾向として

「偏差値が高い高校はⅤ」

みたいになっていますね。

差別化が見られないというか。

むしろ、中学校の評価が凄く軽んじられているというか・・・。

 

まあ、内申に差があまりなく、選びづらいというのもあるのでしょうし、

「絶対評価」とはいえ中学により内申に差があるというのもあるでしょうが、

この辺、私学無償化による私学人気の影響も大きいのかなと

公立の定員割れが2年連続で2600人を超え、

5/18付の中日新聞で県の新教育長が問題視していましたし、

私学に流れた影響で入学する学生のレベルが低下したので、

できるだけ学力のある生徒に来てほしい、と考えた高校が多かったのかな、という印象です。

(でもそれだとより私学に流れると思いますけどね・・・)

そんな中、偏差値60以上の進学校の中で、

「千種(ちぐさ)高校」だけ「Ⅲ」のまま

というように、あえて「Ⅴ」にしなかった高校もありました(下表)。

愛知全県模試での合格者平均偏差値60以上の高校の校内順位ビフォーアフター(尾張エリア)

千種高校は「自主自立」「文武両道」を旨としていますので、

「偏差値」とか「進学率」というよりも、バランスよい人として成長してほしい、と考えての変更ナシだったかもしれませんね。

学校紹介 | 愛知県立千種高等学校学校紹介 – 愛知県立千種高等学校

愛知県立千種高等学校のホームページです。千種高等学校は、「自主自律」の校風のもと、文武両道(=勉強+部活動)に生徒会活動を加えた「三立」を目指しています。人生の礎を築き、国際社会を舞台に活躍する人材を育てます。

いずれにせよ、

これまで3つだったものが、5パターンになり、

どの高校がどの評価方法を選択しているか?

何を重視して学生を選んでいるのか?

というのも、高校選びの一つのポイントになるかなと思います。
(といって千種とかも来年Vに変わっていたりして笑)

 

塾に行ってない子は気をつけて!

もう一つ気をつけなければいけないのは、「塾」に行ってない子の場合です。

当日点2倍となる「Ⅴ」の方式は、塾にとってはプラスの変化です。

というのも、「内申」は生徒の学校での姿勢もあるので、

塾としてもフォローはしても、完全には追いきれません。

(※内申アップ専門塾の後成塾さんならしますが)

しかし、当日点は別です。

特に大手進学塾は、まさに腕の見せ所といったところで、

これまでの傾向と対策をバッチリしてくれます

なにせ、「合格実績」に勝る宣伝材料はありませんからね。

 

そのため、学校の成績がよくて内申がよくても、

それより内申が低いけど塾に行っている子に当日点で負ける、

ということは大いにあり得ます。

つまり、「逆転合格」が今までよりも起こりやすくなっているわけですね。

特に気をつけたいのが、内申美人の子が、

「内申がこれくらいだからこれくらいの高校を受けよう」

と決めるケースです。

今の内申は絶対評価なので本来は学校ごとに同じなはずですが、

現実問題、内申点は同じにはなりません※。

注意ポイント

絶対評価だけで決めてしまうと、学校の学力の違いから「4や5ばかりの中学」「2や3ばかりの中学」も生まれてしまうが、どうしても中で調整してしまいがちになる。そのために愛知県では、各中学校が調査書と一緒に学内の「評定分布一覧表」を送付することになっている。

つまり、同じ内申点であっても、実力が違うということはよくあるのです。

今回の変更の議事録を見ても、

「愛知県公立高等学校入学者選抜方法協議会議 令和3年度第2回議事録」より

というように、むしろこうすることで、

「入学後に授業についていけない!」

という子を落とす狙いがある、というようなことが書いてあります。

だからこそ当日点を重く見て、本来の実力をはかる、という狙いもあるんですね。

それが、シミュレーション上、1.5や2をかけたらちょうどよかったと。

だから決して、内申の価値を下げているわけではない、と。

 

塾に行かなくても出来ること

公立高受験の問題は特殊です。

文章が長い割に時間も限られます。

最新の過去問集が本屋で売っているので、それを買って何度もくり返しつつ、苦手を克服していく作業も必要です。
(寺子屋では塾用のを販売しています)

また、最低でも1回は、本番形式の「模試」をした方がいいですね。

寺子屋でも時々やっていますが「愛知全県模試」は、県下最大の模試で、

志望校の合格判定も出ますので、「内申美人」かどうかもわかります

しかも今年からマークシートに変更されます。練習ナシは危険です。
(全県模試は秋の4回から対応)

寺子屋では外部からの参加を受け付けていますので、

寺子屋で参加することも可能ですし(8/28予定。申込は8月頭頃)、

全県模試のサイトから「自宅受験」を申し込むことも出来ます。

愛知全県模試

愛知全県模試は参加塾数・年間受験者数ともに県下No.1の実績を有しており、信頼性の高い志望校判定データを提供いたします。

いずれにせよ、特に普通科では、

塾に行かないのであれば、

塾に行っている子に負けない対策が、

今まで以上に必要になる変化だったと言うことが言えましたね。

  • この記事を書いた人

メンター 田中聖斗

名古屋市守山区で地域の学び舎『鳥羽見寺子屋』を主宰。塾に行けない・行きたくない子の学習指導や、子どもたちの学びを促す特別授業をやっています。子どもたちに寄りそうことを重視し、どんな子でも受け入れています。作家・企画屋・家庭教育アドバイザー・教材開発者です。花粉症の舌禍免疫中のため、現在は年中メガネです。

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