寺子屋の学び

英文法「応用クラス」始動。今こそ英文法が大事!

去年の4月に始まった、鳥羽見寺子屋の土曜英文法クラス。

1年がたち、基礎クラスから応用クラスへと変わり、中1の子が中2に、中2の子が中3になり、テキストも次のテキスト(スーパー英語Vol.2)に移行したため、内容もいきなりグレードアップ!

都麦出版『みるみるわかるスーパー英語』

基礎クラスで今年も使うVol.1はいうても、「フォニックスの発音」から始まるのは普通のテキストと違うものの、「be動詞/一般動詞」「代名詞」「三単現」「否定文・疑問文・命令文」「疑問詞」「現在進行形」「can」「冠詞」「there is/areの構文」「過去形」とか本当に英語の基礎の基礎をコツコツ身につけよう、という感じだったんですが(それも大事)、Vol.2からはもう、ガチンコです。

助動詞、比較、不定詞、受け身、that節、現在完了、関係代名詞など、英語嫌いだった保護者さんなら聞いただけで英語がイヤになりそうな、受験で必須となる重要表現のオンパレードで、中2~3年の文法内容を1年くらいでやるコースです。

これが身につけば確実に英語で困らないし、身につかなかったら確実に英語で苦労する内容です。

なので、本当ならしっかりやった方がいいんです!

(絶賛参加者募集中です笑)

 

そもそも今の学校の英語の授業では、(おぼえる数増えた)単語やったり本文やったり、昔はなかった「会話」や「発表」までしなきゃいけなくなっているので(授業時間は変わらないのに!)、昔より英文法のことをみっちり時間をとってやることがありません。

「日本人は文法ばかりにこだわっているから喋られないんだ」

という批判にたえかねて現行の内容になっている側面もありますが、助詞があるために語順がどうなっても意味が通じる日本語と違い、極めて厳正なルールがある論理的な英語の文法を理解しないで、英語を「理解」するのは不可能です(英語で話が「通じる」というレベルではなく)。

いや、定期テストとか、誰もがする高校受験で、英語のペーパーテストがないならいいんですよ? 文法なんて後回しでも。

でも、あるじゃん! てか重要じゃん!と。

長文読解も普通にあるし、英作文も正確に書かなきゃいかんし、受験も英語は必須教科な高校ばかりじゃん!と。しかも、スペルが間違うならまだしも、三単現のsがついてなきゃ×だし、時制が一致してなきゃ×だし、語順が間違ってたら×にするじゃんと。

英会話のように文法的に間違っていても「通じりゃいい」「まあいいか」とされることが、文章だと×になるのだから、英文法をしっかり教えないなんて、ECC通っている子や元々頭の良い子以外を「見捨てている」としか思えません

英文法がわからないのに、英語ができるわけないじゃんと。むしろ困る子の方が多いじゃんと。

それだけに、寺子屋の英文法クラスでは、都度テーマごとにみっちりその文法だけを学ばせるようにしています。

英文法が出来なくて実際に困るのは子どもたちですからね。

実際に受験時になって「どうしよう?」となっても手遅れなんですよ。そういう子たちを見てきたので。昨年度からの『学習指導要領』の変更で英語の難易度はさらに上がりましたからなおさらです。

これが、あれですよ?

ここがドイツとか同じゲルマン語系の国だったらこんなことやらなくてもいいのですが、英語と日本語の文法は共通点を探すのが難しいくらいまるで違いますからね

文法「一から丁寧に」教えた方が、実は英語の理解が早かったりするものです。文法を「暗記」することが優先されてはダメですが・・・。

 

さて、そんな英文法応用クラス。先週土曜日は新しいテキストになって1回目でした。

英文法クラスは、子どもの理解度に合わせているので、きっちり1年じゃないんですね(今年の英文法基礎クラスは小6ばかりなのでさらにゆっくりしたペースになると思います)。

英文法応用クラス第1回目は「未来の表現方法」として、「be going to」と「will」を一緒にやりましたよ。簡単に定着しないのが応用表現ですので、それだけで終わらず、都度くり返しながらやっていくので来週もやりますが。

とはいえ、単に「伝える」だけじゃなく、英語の世界観・背景を踏まえながら話すのが寺子屋の英文法クラス。ただの丸暗記なんて一夜漬けと同じですからね(テストのためにおぼえたことは、テストが終わると忘れるんです)。

この辺は英文法クラスを脱落せず1年間やってきた子たちなので、なんで「going」が未来を表しているのかスムーズに理解してくれて助かります。

にしても、子どもに言われたんですが今も「未来形」って教えている先生もいるんですね。

たしかに、大昔の『学習指導要領』では「未来形」と書いてあって我々も学校でそう教えてもらっていたのですが、現行の『学習指導要領』では「未来表現」に書き改められています(下図)。

文部科学省『中学校学習指導要領(平成29 年告示)解説 外国語編』

実はこれ、結構前の平成14年から未来形⇒未来表現に改められているんですよね(教科書はその前から)*。なのに、「教えられたまま英語を教える」人がいるというだけで。

それで、「未来表現」になったのはなぜかというと、「英語にはそもそも未来形は存在しない」からですね(下解説)。最近はこの考えが主流です(英文法クラスで使うテキストは20年以上前のものですが、それでも「未来の表現」になっています👍)。

解説:「未来形がない」とされる理由

学者によって異なるが、簡単に言うと、動詞の変化は「現在形」と「過去形」しかないから、英語に「未来形」はないとなる。あくまでも「will」などを使い「現在形」で未来を表す表現ができるだけなので、「未来を表す」表現になったという考え。
英語でも現在形=present tense、過去形=past tenseしか載ってないという説も。
なお、日本語も未来形はなく、「明日は雨が降る」という現在形で未来を表す。
ちなみにラテン語系のフランス語などには動詞の「未来形」の変化が存在する。

たしかに、単元として「be going to」と「will」を教えるだけなら、現在形・過去形をやったから「未来形」、と教えるのが一番手っ取り早く、理解も早く、未来形が出るとわかってるテストでは点がとれますが(なので塾では今もそう教えてる所があるのかも?)、そのやり方でおぼえると、あとが大変なんですよね。他の文法(ifとか)の兼ね合いとか、助動詞の本質(最近の言い方だとイメージ)とかの理解の妨げになる。

というか、そうするから、英語が話せなくなるような気もします。

たとえば、
「明日一緒に買い物に行ける?」

という日本語を英訳する時、今の子たちは小学校から会話ベースの英語で学んでいるので、「~できる?=Can you~?」というのが普通に出てくるので、

「Can you go shopping with me tomorrow?」

という風に言ったとしましょう。

でも、「tomorrow」が入る文=「未来形」ですよね? 未来のことを話しているし、「will」にしないといけないんじゃないかと。

じゃぁこれが間違いかというと、今の考え方で言えば、間違いじゃないんです。立派に通じますし。

もちろん、「will」を使って、

「Will you go shopping with me tomorrow?」

でも同じ文章に訳せますが、ニュアンスがちょっと違います。

前者は「can=できる?」という「可能」を問う表現なので近い間柄、後者は「will=するつもりはある?」という「意思」を問う表現なのでちょっと距離のある間柄で使う言い方ですね。

もちろん中学レベルでこんなこと気にすることはないのですが(文法としてクラスでは説明します)、will=未来形としてしまうことで、「未来の話はWillかbe going toじゃないといけない」と表現の幅を狭めてしまうようになるのはよくないなと。

まぁ、狭めていくのがテストでもあるのですが、だからこそ「正確に話そう」となってしまっていたような・・・英語のテストのための英語勉強をしていたら、そりゃ話せないよねと。英語は道具なのに。

そもそも、学習指導要領に入ってないので中学では教えませんが、「現在進行形」でも「現在形」でも未来を表すことができます。だから、「未来形」で教えると、あとが困るんです。明らかに現在形ですからね笑。

だから寺子屋では、「willもbe going toも現在形で、未来のことを表せているだけ」という教え方をしています。その方が案外すんなり入ってくれましたが・・・だって、日本語にも未来形がないですからね。

 

こういったことって、学校で説明される機会ってないんですよ。

先生に聞きにいって、ちゃんと情熱のある先生なら説明してくれると思うんですけど、中にはそうでない先生もいますし、聞けないでモヤモヤしてる子がほとんど。

ですが、案外、こういう英語のモヤモヤの積み重ねが、英語を苦手にしていることが少なくありません。

別に寺子屋でやるやらないは別にして、どうせ英語をやらなきゃいけないんですから、英文法は理解できた方が絶対いいですので、英文法に時間を割いて学ぶことをオススメします。ネットで質問したっていい時代ですしね。

なお、寺子屋の英文法クラスでは、自分で調べる子はいないので笑、疑問に答えつつ、教えています。

ただたんに「教えなきゃいけないことを教える」「テストのためだけに教える」で終わらず、「英語が苦手にならないよう」「英語がナチュラルに理解できるよう」「英語を道具にできる人間になれるよう」「英語が好きになるよう(これが一番難しい笑)」基礎からしっかり学んでもらう授業をしています。

基礎といっても負担なく学べる内容で、テキストの内容自体もそこまで難しくないのですが、逆にこの間子どもに「このテキスト、親切なのはいいんだけど英作文がないよね」と指摘されたので、今度から英作文もやらせるようにします笑。たしかにいい教材なのですが、20年以上も前のものですからねぇ(タイトルが「スーパー」ってあたりも・・・)。足りない部分は補完しないと。

昔と違って今の子たちは英語で「話す」「発表する」ということも求められているわけですから、英作文ができないと正確に話すことも出来ませんよね。反省です。覚悟しとけよ!

こんな感じで寺子屋は少人数なので、子どもたちの反応や疑問がダイレクトに来ます。こちらも日々勉強です。

英語のモヤモヤを限りなくなくしていきたいですね!

モヤモヤしたままでも要点押さえれば「いい点」は取れるけど、書いたり話したりはできないんですよね(←実体験)。

英語は使えないと楽しくないですから。

 

なお、英文法クラスは月曜17時の基礎クラス(小6以降)、土曜の応用クラス(中2~3)両方とも参加者募集中です!


*大村吉弘『英語に未来時制はあるのか―中高の時制とアスペクト指導における提言―』2021

  • この記事を書いた人

メンター 田中聖斗

名古屋市守山区で地域の学び舎『鳥羽見寺子屋』を主宰。塾に行けない・行きたくない子の学習指導や、子どもたちの学びを促す特別授業をやっています。子どもたちに寄りそうことを重視し、どんな子でも受け入れています。作家・企画屋・家庭教育アドバイザー・教材開発者です。花粉症の舌禍免疫中のため、現在は年中メガネです。

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