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公立中高一貫校拡大!デジタル人材向けや不登校向け中高一貫校も?

先週、愛知県教育委員会から、中高一貫校導入校が拡大するという発表がありました。

これまでは、2025年(令和7年)開始の、

  • 明和
  • 半田
  • 刈谷
  • 津島

の4校だったものが、

  • 愛知総合工科
  • 日進
  • 西尾
  • 豊田西
  • 美和
  • 時習館

の6校が追加されたわけです。

この6校は2026年度(令和8年度)入学開始ということなので、今、小3の子から入学対象となる感じですね。

(最初に導入を決めた4校はその前年の2025年度なので今の小4から)

選択肢が広がりますねえ。

とはいえ、第一弾で導入を決めた明和などのように、ただただ学力重視の中高一貫校にするわけではなく、それぞれ学校ごとに「コンセプト」があるようです。

勉強だけじゃない中高一貫校?

とくに驚きなのが工業系のトップ校、愛知総合工科高校が入っていたことですね。

愛知工業高校と東山工業が合併して出来た比較的新しい高校ですが、設備がすごく、制服もビームス笑という、人気校です。寺子屋の子も何人か行っています。

中高一貫っていうと、「勉強が得意な子が行く」「地元の公立が荒れているからほかの中学に行く」みたいなイメージがありますが、愛知総合工科高校は、ザ・理系の学校です。

そのため、プログラミングやAIなどを中学生のうちからカリキュラムに組んで学んでいく、DX(デジタルトランスフォーメーション)時代をリードする「高度ものづくり人材」に特化した中高一貫校にするそうです。

プログラミングの世界は学歴より経験と言われるように、年齢関係ない世界なので、そういった意味で、パソコンに強い子なんか向けの中高一貫校という感じでしょうかね。おもしろい取り組みです。

私立の愛工大名電中なんかをイメージするとよいのかな?

定員割れしてるからこその大改革?

かたや、「不登校特例校」として、中学はもちろん、高校生も受け入れると決めたのが日進高校

日進高校は近年、定員割れが激しい高校なので、思い切って大改革という感じです。

なんでも、「入試なし」「面接のみ」で合否が決まり、年度途中の入学も可能。さらに、生徒にあわせて授業時間を減らしたり、「メタバース」や「VR」による指導をするとか。

まるでN高校かと思うような内容を、行政がどこまでできるか見物です。

他にも、こちらも定員割れしている美和高校が、地域の中学に絞って「地域を支える人材」として募集をかけるようです。

あとは、まだ決まってはいないようですが、外国人労働者の多い西三河地区に、海外をルーツに持つ子向けの中高一貫校を作るとか。確かに愛知県はトヨタを初めとする製造業が多いので、英語圏でない外国人労働者が多く住んでいますからね。
(計画している1クラス40人のみで足りるのかな?という気はしますが・・・)

やっぱり多いのは勉強できる系

愛知総合工科や日進みたいに「特殊」な中高一貫校もできるとのことですが、それでもたいがいは、やっぱり勉強系の中高一貫校が半分以上を占めます。

そういった高校は「探究学習重視型」という、ただただ「お勉強」するのではなくて、探究学習という、主体的・実効的な学びを進める今時の流行の授業をするようです。

2022年11月29日付中日新聞より

明和・半田・刈谷・豊田西・時習館は偏差値60を超える名門校で、文部科学省が指定する「SSH(スーパーサイエンスハイスクール)」研究校に指定されていますから、中学時代から、突っ込んだサイエンスを学べるということでしょう。

津島と西尾に関しては、そのまま海外の大学に行ける「国際バカロレア」の取得を目指す、国際派人材を育てる中高一貫校にするつもりのようです。

今、小学生のお子さんの選択肢に・・・なるか?

このように、次々と色々な中高一貫校が出てくるわけですが、行政の視点で見れば「バランス良く」というところでしょうが、保護者の立場から考えると結局、「ウチの子が通える範囲では?」という話になるのが現実でしょう。

高校ならまだしも、中学生が通学に1時間かけるとかはやはり現実的ではないですしねぇ。

たとえばここ、鳥羽見寺子屋のある名古屋市守山区からだと、通えそうなのが「明和」「愛知総合工科」ぐらいでしょう。

「東海」「滝」「金城」などを受験する子の併願として「明和」が組み込まれるのかなという感じですが、中学受験は専門ではないので、「愛知総合工科」はちょっとどんな感じになるか読めませんね。理系っぽく愛工大名電中とかとの併願とかでしょうかねぇ?

「日進」の不登校枠が、一体全体どんな感じで、実際にスクーリングをほとんどしなくてもよい、というのであれば、そこも年に数えるほどのスクーリングであれば通える範囲と言えばギリギリ通える範囲でしょうか。

守山区の子が公立中高一貫校を目指す例
2022年度に小3の子➡明和、愛知総合工科、(日進)
2022年度に小4の子➡明和(頑張れ)

そういう意味では、もう少し増えてくれると選択肢が増えていいんですけどねぇ。

見てきたように、中高一貫校を導入するのは、「トップではない」上位校か、「定員割れ」している高校というパターンが多いので、そういう条件じゃないとなかなか、中高一貫にシフトしよう、というのもない気がしますので、しばらくはそういった高校が対象になって、実際に中高一貫校の入学が始まって、それで「中高一貫校いいじゃん」となったらもう少し増えていくのでしょうね。

なにせ愛知県の教育政策はかなり保守的ですからね。

それでも、新しいチャレンジを次々としていくことは、考え方が画一的で時代遅れになりがちな公教育に新たな風を呼び込んでくれると期待したいところですね!

  • この記事を書いた人

メンター 田中聖斗

名古屋市守山区で地域の学び舎『鳥羽見寺子屋』を主宰。塾に行けない・行きたくない子の学習指導や、子どもたちの学びを促す特別授業をやっています。子どもたちに寄りそうことを重視し、どんな子でも受け入れています。作家・企画屋・家庭教育アドバイザー・教材開発者です。花粉症の舌禍免疫中のため、現在は年中メガネです。

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