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英語の○○を学ぶには「マザーグース」が最適

鳥羽見寺子屋の英語クラスでは、今年度より、より英語が自然と身につくように、毎月「今月の歌」としてテーマを決めて、英語の「マザーグース」を歌うレッスンを取り入れています。

マザーグースとは? 

日本でいう「童謡」「童歌(わらべうた)」に相当するものがこの、「マザーグース(Mother Goose)※」です。一説によると1,000以上もあるそうです。
※ナーサリーライム(Nursury Rymes)とも

マザーグースは、英語圏では古くから愛されていて、日本の童謡と同じように、大人から子どもへと口伝えでずっと伝えられるため、バリエーションの違う替え歌が多数存在しています。

日本でも、「キラキラ星」「ロンドン橋落ちた(←最近の子は知らない子もいるようです)」として知られているこの曲たちも、「マザーグース」の一つです。

英語圏では「上は王室から下は乞食まで」という言葉で形容されるように誰もがマザーグースに親しんで育ち、英語を話す人たちの三大教養が、「シェイクスピア」「聖書」と並んで「マザーグース」と言われているほど英語圏の言語取得の根幹にあるのがマザーグースです。

 

日本語と英語の「音」は根本的に違う

マザーグースがどう英語の言語取得に役立つかお話しする前に、日本語と英語の「音」の違いのお話をさせてください。

そもそも英語は、日本語のように文字の通りに発音しないという特徴があります。

これは例をあげるとわかりやすいですが、たとえば日本語は、ローマ字で「sa」だったら「サ」と発音します。常識ですね。

注意

この後、英語の読みをカタカナで表記していますが、あくまでイメージで(半角カナの場合は短いor弱い)、実際の音声とは異なります。もちろん、鳥羽見寺子屋では、正しく発音するように指導しています。

ですがこれが英語だったらどうでしょう?

「sad」なら「サァド(sæd)」
「say」なら「セィ(seɪ)」
「saw」なら「ソォ(sɔː)」
 ※()内は発音記号

・・・というように、おなじ「a」でも、後ろに来るアルファベットとの組み合わせで「sa」の音が、「サ」になったり「セ」になったり「ソ」になったりします。日本人からしたら理解不能で、特に日本の学校はローマ字を教えてから英語を教えるので、ローマ字とは違う音の変化を受け入れられずに英語嫌いになっている子が山ほどいます

 

英語の発音が日本語と根本的に違う理由

これは、英語が日本語のように「子音+母音」もしくは「母音のみ」で発音するだけでなく、「子音+母音+子音」などの形で発音することもあるからです。

ポイント

母音(ぼいん)
…赤ちゃんでも出せる、基本的な音。日本語と英語で対応するのは、たまたま同じ「a i u e o」の5つ。

子音(しいん)
…母音以外の音。日本語は「ン」と「ッ」以外は、基本的に母音と組み合わせて使う。英語の「c」や「d」などの子音はそれぞれ単体で発音できる。

だから、「sad(sæd)」と同じように後ろが「ーad」になる単語、たとえば

「bad」なら「バァド(bæd)」
「dad」なら「ダァド(dæd)」
「pad」なら「パァド(pæd)」

・・・のように、「子音+ad」であれば、同じ「ad」の部分は、同じ「ェアド(æd)」の発音になります。

なので、「iPad(アイパッド)」も、英語では「アイパアド」と発音しなきゃいけないんですね、ホントは(↓)。

日本人の話す、カタカナ英語が海外で「通じない」と言われるのはこういうところもあるんでしょうね。

注意

だからといってかならず「ad」がつけば「ェアド(æd)」になるわけではなく、「advice」のように先頭に来た場合は「アドヴァイス(ədváɪs)」になります。あくまで「同じ場所・組み合わせ」で同じ音になることがある、という話です。

なんで英語はこんなにも音が変化するのかというと、英語が「子音」も「母音」もアルファベットひとつひとつに音があり、複数の音があるものもあるというところから来ています。

これは、日本語が「母音」もしくは「子音+母音」でしか発音せず、「n=ン」以外の「子音」を発音しないのとは決定的に違います

だから、「子音」単体で発音することがないため、後ろの音に左右されず、「酒(sake)」だろうが「幸(sachi)」だろうが、必ず「sa」は「サ」と発音するのです。

このように、日本語と英語では、根本的な「発音のルール」が違うのです

 

英語の「音」の違いを学ぶなら「フォニックス」

とはいえ、学校でその「ルール」を教えてもらった、という人はおそらく少なく、

「そういうものだ」
「おぼえるしかない」

と言われた方がほとんどじゃないのかなと思います。

実はこの、英語の「英語の『文字』と『音』が違う問題」は英語圏の子どもが文字をおぼえる時にも発生しまして、それを解決するために使われている欧米圏で使われている手法が、寺子屋の英語クラスでも使っている、「フォニックス」と呼ばれる発声方法です。

詳しくは別途ご紹介する予定ですが、フォニックスは、「a」を「エー」ではなく、「エア」とか「エイ」と発音させたり、「c」を「シー」ではなく「ク」とか「ス」で発音させたりと、アルファベットひとつひとつの読み方を学び、それを組み合わせて発音する方法です(「cat」なら「ク・エア・ト」を続けて読むと「ケヤット」のようになる)。

(WinBeより)

英語圏で文字を習う子が学ぶのがフォニックスですから、フォニックスが身につけば、発音記号を見ずとも、単語を見ればだいたいの読みがわかるようになっていき、単語を正しく発音できる、正しく聞き取れるだけでなく、単語を正確に早くおぼえることができるようにもなります(が、残念ながら公立の小中学校では教えていません)。

そのためフォニックスは、多くの子ども向け英会話教室で導入されており、寺子屋の英語クラスでも、フォニックスを取り入れた授業をしています

 

英語はフォニックスだけじゃ足りない!

それではフォニックスだけを学べば、英語の発音はバッチリ!・・・とはならないのが英語の面倒なところです。

なぜなら、英語はそもそも、日本語のように、書かれた文字をしっかり読むとは限らない言語だからです。

この辺は洋楽とか、ナチュラルな英語の歌を、歌詞を見ながら聴いてるとよくわかりますよね。

日本語の常識で行くと、書かれた文字を読まないということはあり得ませんが、英語の場合、たとえば「ーing」の「g」を発音せず、「falling」を「フォーリン」と発音する、というのはよく知られていますよね。

また、「an apple」を「エナァーポー」のように、となりの音とくっつけて発音することも少なくありませんが、このように、前後の単語の音がつながって発音されることを「リエゾン(リンキング)※」と言います(これも学校ではしっかりと教えてくれません笑)。
※リエゾンはフランス語語源なので、リンキング(linking)という人も

しかし、「リエゾン」は英語で話す上ではとても大事で、日本人の英語が全然通じない、英語ネイティブの人の言っていることがわからないのは、この「リエゾン」が身についていないからとも言われています。

 

マザーグースで学べる英語の「リエゾン」

そして、この「リエゾン」を自然に身につけるのに最適なのが、「マザーグース」なのです。

たとえばこちら、英語クラスの5月の課題曲(マザーグース)、「ロンドン橋落ちた(London Bridge Is Falling Down)」から。

London Bridge is falling down, falling down, falling down,
London Bridge is falling down, my fair lady.

Build it up with wood and clay, wood and clay, wood and clay,
Build it up with wood and clay, my fair lady.

こちらの「Build it up with wood and clay」の部分を、日本人が文字だけで読もうとすると、

ひとつひとつの単語を読んで、

「ビルド・イット・アップ・ウィズ・ウッド・アンド・クレイ」

と言うと思うのですが、

英語ネイティブの発音(0"20あたり)でお聴きになると、

「ビールディダップ・ゥィズ・ウーデン・クレィ」とか
「ビーリラップ・ゥィズ・ウデン・クレィ」

などのように聞こえるのではないでしょうか?

これは歌だからと言うわけではなく、英語ネイティブが「文章」を話す時、「単語」ひとつひとつを正確に発声することはほとんどなく、それぞれ単体として存在していた英語の「子音」や「母音」が、結合して、この歌のように前の単語とつなげた音(リエゾン)を作るためです。海外ドラマを吹き替えなしの字幕だけで見ているとよくわかります。

リエゾンの例

例えば先ほどの歌詞から、「Build it up」の部分は、「build」の「d」と「it」の「i」がくっついて「di」になって、「it」の「t」と「up」の「u」がくっついて「tu」になるので、「Build it up」を「ビルディッタップ」とか、もっと早くして「ビルリラッ」という感じで発音することができます。

これが「英単語」だけであれば、「フォニックス」だけで発音できるのですが、こと「文章」となると、単語をひとつひとつ読むのはとても間延びした感じになりますので、単語同士のつながりの音(=リエゾン)を作っていくわけですね。

そしてマザーグースでは、「リエゾン」ならではの音のつながりをそのまま復唱することで、カタカナ発音にならず、ナチュラルな英語発音と同じ音を出せるようにして行くことが可能になります。

 

マザーグースで学べる英語の「リズム(抑揚)」

マザーグースは、歌詞をよくよく読んでいくと、「なんじゃそりゃ?」という不思議な話も少なくありません。

例えば「London Bridge Is Falling Down」にはいろんなバリエーションがありますが、先ほどのYouTube動画の歌詞の一部を抜粋すると、

Build it up with wood and clay
(木と粘土で組み上げた)

Build it up with bricks and mortar
(レンガとモルタルで組み上げた)

Build it up with iron and steel
(鉄と鋼鉄で組み上げた)

Build it up with silver and gold
(銀と金で組み上げた)

というように、木と粘土を使っても、セメントを使っても、鉄を使ってもロンドン橋は落ちたから、銀や金で作ったぜ!というよくわからない歌詞です笑。

「そんな橋あるかよ!」と。ナンセンスギャグみたいな。

参考

「ロンドン橋」というのは実在の、何度も落ちた橋として有名で、「London Bridge Is Falling Down」はそれを「元ネタ」にした歌です。
ちなみに、よく見るロンドンの跳ね上げ橋は、タワーブリッジという別の橋です。

本物のロンドン橋

日本の童謡でも意味がわからない歌があるように、マザーグースも、あくまでも「リズム」に従って「rhyme(ライム、韻)」を踏むための歌詞です。

例えば先ほどの韻を踏んだ箇所は、

wood and clay⇒ウーデン・クレイ
bricks and mortar⇒ブリックセン・モール
iron and steel⇒アイラン・スティル
silver and gold⇒シルヴァン・ゴゥド

のように同じリズムで、「and」の発音を「アンド」とせずに前の音と「リエゾン」しつつ、「wood(wʊd)」のように音が短い単語も、「silver(sɪ́lvər)」のように音が長い単語も、同じリズムで言わなければなりません。

これは、マザーグースでくり返すことで、同じ「抑揚(音の高低)」をつけるポイントがわかるということですね。

 

マザーグースで学べる「リズム(強弱)」

また、リズムに乗って歌うことで、英語が、何を強く言って、何を弱く言うかというのもわかってきます。

たとえば、タイトルにもある「London Bridge is」ですが、音を強く言うアクセントは、「London Bridge」の「o」と「i」にあり、歌でもここを強く「ンド・ブリッジズ」と発音していますね。

さらによく聞くと、「London」の方が「Bridge」よりも強く発音しているのですが、これは、「ロンドン」と「橋」だったらどっちが伝えたい情報か?という視点で見ると「ロンドン」だよね、ということで、

「London」>「Bridge」

という単語同士にも、音の強弱をつけて話すようにしているのです。

ポイント

英語は、日本語のようにあえて強調する時じゃなくても、文章の中で大事な部分は強く言う傾向が強い。

また、英語にはこのように、「強く発音するもの」と「弱く発音するもの」があり、「London」は固有名詞だから強く言うし、「it」「up」「and」などは「弱く発音する」代表例で、先ほどの「Build it up」の、「it」「up」も「ビルリラッ」のように、ほとんど吸収されたような弱さで発音されたのも、そういう理由からです。

参考

文法的に言うと、強く発音するものは「内容語」と呼ばれ、弱く発音するものは「機能語」と呼ばれる。

内容語
…固有名詞、一般名詞、一般動詞、形容詞、副詞、数詞

機能語
…be動詞、前置詞、接続詞、冠詞、人称代名詞

英語圏の人は「単語の正確な発音」よりも、この、文中の強弱を意識して聞いているそうです。

ですから、この、強弱を意識した話し方が出来れば、多少ヘンな発音でも英語が通じてしまう、ということが起こり得るそうで、だからこそ、世界中のさまざまな国の人同士が会話できる「国際語」になっているんでしょうね。

リズムに乗って強弱が学べるマザーグースを通じて、英語の文章を伝える時に大切な、音の強弱を身につけることもできるわけです。

 

マザーグースで学べる?英文法

マザーグースで、英語のナチュラルな発声方法が身につくということはわかりましたが、それでは「文法」という視点で見たらどうでしょうか?

たとえば、

「London Bridge Is Falling Down」というタイトルにもなっているサビ、気づいた方もおられると思いますが、

「be動詞+ーing」

現在進行形なんですよね(なので「ロンドン橋落ちる」が本当は正解)。

他にも、歌詞の中で、

Wood and clay will wash away
(木と粘土は流されてしまう)

Bricks and mortar will not stay
(レンガとモルタルは維持できない)

と、未来を表す助動詞「will」を使った肯定文と否定文が出てきますし、「wash away」などの熟語(2つ以上の単語が組み合わさった表現)も出てきます。

しかし、マザーグースを歌っている子どもたちにあえて「これは現在進行形だよ」「木と粘土はwillだけど、レンガとモルタルはwill notなんだよ、なんでだろうね?」と言う必要はなく、「away」と「stay」が韻を踏んでるとか、「音のつながり(リエゾン)」や「音の強弱や抑揚(リズム)」を感じてもらうことの方が重要です。

日本で生まれ育ったわれわれ日本人がそれらを身につけるのは本当に大変なので、同じフレーズを口ずさむことで、それをしっかり身につけてほしいんですね

もちろん、「ロンドン橋が落ちていく~」という現在進行形ならではのライブ感を感じてもらうことができるのなら、それに越したことありませんが、文法をマザーグースで学ぼうとするのは、やや、ナンセンスと言えるでしょう。

 

マザーグースは、童謡と同じポジションで!

そもそも、マザーグースは小さな子どもが歌う歌で、かつ、日本の童謡と同じく歴史のある歌も多くて表現も古くさく、文法を学ぶテキストとしてはハッキリ言ってイマイチです

文法を理解して訳したところで、内容も「だから何?」みたいな内容なので、中学生ぐらいになると、本当につまらない作業になります笑。

なので寺子屋でも、「英語の音」を積極的に学ぶ小学生向けの「英語クラス」ではマザーグースを取り入れますが、文法を学ぶ「英文法クラス」では、マザーグースを取り入れることはこの先もありません。

中学生ぐらいになると、童謡なんてかったるいですしね笑。

 

日本の童謡も、よくわからないまま歌っているけど、それが大人になっても消えていない人は多いと思いますが、マザーグースも、よくわからないまま耳に残っている状態になっているのが理想ですね。

たとえば、「通りゃんせ」という童謡がありますが、意味わかります?

通りゃんせ 通りゃんせ
ここはどこの 細道じゃ
天神さまの 細道じゃ
ちっと通して 下しゃんせ
御用のないもの 通しゃせぬ
この子の七つの お祝いに
お札を納めに まいります
行きはよいよい 帰りはこわい
こわいながらも
通りゃんせ 通りゃんせ

実はよくわからないために、「被差別部落を表している」などと理由(こじつけ?)で関西では放送禁止になっているそうですが、意味なんてわからないまま歌っていましたよね?

それでもどうでしょう?

「通りゃんせ」というのは古語ですが、遊びで人を通しながら歌うので、「通りなさい」という意味だと解釈できますよね?

「ここはどこの」という部分を、「ここは・どこの」という言葉で区切れるのはわかりますよね?

歌には、母国語の人だと当たり前すぎて気づかない「言語のルール」が隠されており、英語のルールを学ぶには、楽しく聞ける英語の歌、それも、韻を踏んだくり返しがあったりする「マザーグース」が自然と入ってきやすい、ということです。

 

なお、日本の童謡でも「実は怖い話?」みたいなものもあるように、とんでもない話とかもマザーグースにはあり、でもそれが下敷きとなって、有名な作品が生まれていたりするので、英語が母国語の人たちにとって、マザーグースが基礎教養の一つになっているとも言われています。耳から離れない、音のリズムと共に。

  • この記事を書いた人

メンター 田中聖斗

名古屋市守山区で地域の学び舎『鳥羽見寺子屋』を主宰。塾に行けない・行きたくない子の学習指導や、子どもたちの学びを促す特別授業をやっています。子どもたちに寄りそうことを重視し、どんな子でも受け入れています。作家・企画屋・家庭教育アドバイザーです。花粉症の舌禍免疫中のため、現在は年中メガネです。

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