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『二月の勝者』15巻は、受験校を考えるという意味で見所豊富でした

こんばんは。

中学受験をテーマにしたマンガ、

『二月の勝者ー絶対合格の教室ー』をご存知でしょうか?

ドラマ化もされたので名前は知ってるけど、内容は詳しく知らないという方が多いかもしれませんね。

冒頭から、

君たちが合格できたのは、父親の「経済力」。そして母親の「狂気」。

「受験塾」は、「子どもの将来」を売る場所です

「スポンサー」すなわち「親」です

(『二月の勝者』第1巻より)

と、マンガらしく、のっけから過激なことを言う、塾講師(兼校長)の黒木の言動と、特に首都圏での「正気か?」と言いたくなるような中学受験の現場(塾、親、子ども)を生々しく描いていると評判の作品ですね。

いろんな視点で描かれているので、活字の本よりも、「自分の家庭はこうだわ」など参考にできたりするので、中学受験するなら読んでおいて損はないでしょう。

中学受験は父の「経済力」と母の「狂気」が全てだ | 学校・受験 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

物語の舞台は中堅中学受験塾「桜花ゼミナール」。2月の中学受験を終え、バケモノ級トップ塾「フェニックス」のカリスマ講師の黒木蔵人が、その後塵を拝する「桜花ゼミナール」に転籍する。黒木は、新小学6年生を前…

鳥羽見寺子屋というか私自身、中学受験に明るくないので、

「へえぇ~」

「そうなの??」

みたいな話もポロポロ出てくるのですが、

最新15巻では、中学受験の会場が

「横浜アリーナ」

「幕張メッセ」

など、関東に住んでいない人からすると、

マジで!?

という話が続々。

 

たしかにこれは、

第三者の視点から見れば「狂気」と表現できてしまうのもうなずけます。

 

ちなみに、

私の家庭は私立とは縁遠い経済力だった(たぶん)のと、

親にその気もなかったため、家で話題にものぼらず、

「中学受験」というものをよくわからず、

友人に「私立行かないの?」と言われたりしましたけど、

私はずっと「シリツってなんだろう?」と思いながら小学生を終えました笑。

 

そんな感じなので、

子どもたちに勉強を教えている人間ではありますが、

個人的に中学受験塾で指導したこともないので、

子どもが「行きたい」ならさせてあげてほしいし、

経済的に「行ける」なら行った方がいい

くらいに思っています。

 

いずれにせよ、行くのは本人ですからね。

かといって、行ったから終わりではありませんし、

それでたとえ行きたい所に行けなくても、

その努力はムダになりませんし。

 

中学受験の勉強していて、中学の勉強は困らなくなりますし。

寺子屋でも、中学受験をする子がやるような計算パズルをさせたりしますが、

やった方がプラスになるからです。

逆に、子どもが激しく嫌がっているならやめるべきと思います。

本人が後でその「選択」を後悔することがあっても。

嫌がって入った学校で勉強に身が入るわけありませんからね

それではついていけないでしょう。

子どもは心が未成熟ですからね。

 

さて本題の『二月の勝者』15巻の中身ですが、

いよいよ「二月」が近づいてきましたが、まだ

「二月」ならぬ「一月」の受験にまつわるエピソードでしたね。

(ここからはじゃっかんネタバレが入ります)

本命の東京の中学ではなく、

力試しや練習で受ける地方の私立中学(九州!とか)があって、

それが「前受け」として一月に受験しに行くわけです。

毎回受験料を払って。

 

それはある部分で私立中には「いい収入」になっている側面もあるので、

中学の側もそれは利用されることは覚悟の上でやっているし、

受験者側も受験結果の得点や順位を元に自分の立ち位置をチェックできるなど、

生々しい(けどある部分では現実的)な話が盛り込まれつつも、

その中で、いつものように、

子どもたちをどう「勝者」にすべきかという大人たちの試行錯誤が描かれていましたね。

 

ある親は、自信を無くしていた我が子が前向きに試験に臨んだことを喜び、

ある親は、どうしても名門校に入れたいが為に、下のランクの学校の説明会での言葉に反発したり、

ある親は、子どものためにできる限りのことをして、子どもも頑張ったのに、結果が振るわなかったり、

 

ある意味で、

どんな選択をしても必ずしも人生は思いどおりにはならない

という真理を描いていて興味深いですね。

 

さて、そんな感じで、

寺子屋とはぜんぜん違う中学受験塾の話ではありますが、

「志望校」に関する部分は、やはり共通してるなぁというのが、

 

結局、行けるレベルの中で合う学校に行くのが一番いい

 

という所ですね。

 

今回は偏差値が「やや劣る」ミッションスクールが登場し、

その学校「らしさ」のある魅力的な高校生が出てきていましたが、

偏差値が高くない学校の方が、より自分たちの「魅力」を個性として売り出しているなど、高校選びでも同じだなと思うシーンでした。

高瀬志保『二月の勝者ー絶対合格の教室』第15巻

たしかに偏差値高い学校に行った方が

「あとあと有利」

なのは確かです。

 

たとえば東大出身のクイズ王伊沢拓司さん、

東大受験前は全然勉強していなかったと言ってましたが、

いうても「開成」ですからね。

開成中学・高校

東大合格者No.1を誇ることで有名な東京の中高一貫の私立男子校。
ちなみに、岸田首相も開成出身。落合陽一や意外な所では蜷川幸雄とかも卒業。

周りのレベルについていこうとするだけでも、

東大行くのはムリじゃないんだと思う環境に行くだけでも違いますよね。

 

とはいえ、やはり、入って、

伊沢氏のように、本人がただただサボっててついていけないならまだしも、

全力でやってもついていけないようなところに行くよりも、

自分にムリのないレベル(背伸びぐらいで)で、自分に合った学校を見つけて行くのが基本でしょうね。

もちろん、本人がメチャメチャやる気になっていれば話は別ですが。

そういう意味で、この15巻では、当初、塾の授業もボーッと聞いていた、好きなことにしか興味がない「あの子」がジャイアント・キリングを成し遂げ、「鉄道で行きたい」などと言い出したり、

主人公・黒木の「もう一人の生徒」とのやりとりも、ちょっとクスリとするシーンがありながらも、「そう来たか」という展開で、ちょっとホッとした巻でしたが、

次巻で「この学校、いいかも?」と心では思っても親の手前そんなこと言えないあの子が、どういう選択をするのか?

いろんな意味で注目しています。

  • この記事を書いた人

メンター 田中聖斗

名古屋市守山区で地域の学び舎『鳥羽見寺子屋』を主宰。塾に行けない・行きたくない子の学習指導や、子どもたちの学びを促す特別授業をやっています。子どもたちに寄りそうことを重視し、どんな子でも受け入れています。作家・企画屋・家庭教育アドバイザー・教材開発者です。花粉症の舌禍免疫中のため、現在は年中メガネです。

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