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小学校で習ったハズの英単語を、中学校で毎週テスト?

昨年から、中学でも新しい『学習指導要領』が適用された新しい教科書になりましたが、特に大きな変更があったのは英語です。

というのも、小学校で「英語必修化」となったので、それを踏まえたより難しい内容(今までより文法の習うタイミングが早くなるとか、高校の文法が降りてくるとか、英語の授業はすべて英語で会話とか)になっているからですね。

 

理想では、

小学校で英語の「感覚」を学んでもらって、

中学で文法などの「理論」を学びつつ、会話も発表もできるように・・・というのですが、

 

現実には、

多くの子が、英語の授業についていけていないようで、

中学校の定期テストで英語の平均点だけ40点台とか、冗談としか思えない結果が出ています。

 

特に気になるのが、英語を早く習っているはずの今の子たちの方が、単語の習得が弱いことですね。

たとえば、昔は「Sunday」などの曜日とか、「first」などの序数とか、昔は中1でくりかえしおぼえさせられていたのですが、今は「書く」だけでなく「聞く」「話す」「発表する」などもやらなきゃいけないし、次から次へと新しい文法をおぼえなくてはならないし、学校では、英単語に時間をかけられなくなっているんですね。

しかしご存知のように、英語を少なくとも「正しく書く」ためには、「英文法」はもちろん、「英単語」の両輪がないとムリですよね?

それなのに、カリキュラム(というか教科書)でも、小学校で「基礎的な英単語」を習っているハズだから、という前提で授業が進み、教科書にも「小学校の単語」として、すでに習っていることとして登場します。

東京書籍『NEW HORIZONで小中接続は万全!』より

ですが、多くの子が、

「聞いたことはあるけど書けない」

「聞いたことはあるけど意味はわからない」

というような状態です。

小学校の授業が「I'm ~」とか「I'd like ~」とか定番フレーズの復唱など、「発話」がメインになっているので、英文法クラスの子たちと話していても、「英語の耳」は育っているのはわかるのですが、中学になると、英語は正しく書けなきゃ意味ないですよね。

高校受験でも、「会話だけでOK」ならいいのですが、英語は「筆記」が基本なので。

注意ポイント

愛知県教育委員会に聞きましたが、今年から始まる新方式の公立高校受験でも、英語のテストは今まで通り、22点満点(うちリスニング5点)は変わらず、「発話」テストはないそうです。

そんな状態なので、さすがに学校の先生も「これじゃマズい!」と思ったのか、中1の子は、まさかの「小学校で習ったハズの英単語」の小テストを毎週のように課されることになりました。

いやまあ、そりゃそうですよねと。

小学校で習う英単語は特に、「play」とか「like」とか「make」とかの「基礎的な単語」です。

そして英語の文法を問う問題は基本的に、そういった基礎的な単語で出来ている問題ばかりですから、それが完全に身についていないと、何を教えても「基礎のない応用」になってしまってしまって、その結果としての、定期テスト平均40点台なわけでしょうし。

 

ということで、寺子屋に来ている子たちにも英単語テストにひかえて英単語を必死でおぼえるわけです。

こちらとしては本来なら、記憶定着アプリ「MONOXER(モノグサ」を使ってやりたいところですが、なにせ、アルファベットをちゃんと書くとか、最初は大文字にするとか、基本中の基本すらあやしい(小学校でいったい何を習ったのでしょう??)。

なので、あまり学習としては非効率として言われる手法ではありますが、表方式で「くり返し書く」方法で、単語リストを表にして、意味から英単語を書くという古典的な方法で学習させています(MONOXER用にデータにはしてあるので)。

印刷して、左端を折り、右から縦に単語を書いて、終わったら折って、次の列をまた一から書く…というのをくり返します

また、実際の小テストは、単語だけじゃなくて「文章の中」に埋め込んだ形で出るというので、穴埋め形式の小テストも即興で作ってやらせることにしました。

単語だけ練習していると、先頭の大文字とか忘れがちですからね。

また、今の学習指導要領では「記憶」だけで解ける問題ではなく、「文の中の単語」として意味をとらえてもらわないとダメで、学校の先生もその辺も考えて問題を作ってあるはずなので、それに沿う形で問題を用意しました。

 

学校でも単語リストをくり返し練習し、いざ本番!

・・・で、学校の小テストの結果は・・・1つ間違えただけでした。

満点じゃないんかい!!

 

それでも×を打たれたのは、ここでさんざん指摘してきた「a」か「u」かわからない、という文字の書き方だけなので、「次こそは満点とる!」と再び次のテストに動き出しております。

失敗してもいいのです。

次にそれを改善すればそれが「主体的」として評価されるのが今の学習指導要領に基づく通知表ですので、こういった小さな事からコツコツと、成功(と失敗)を積み重ねていってもらいたいですね!

  • この記事を書いた人

メンター 田中聖斗

名古屋市守山区で地域の学び舎『鳥羽見寺子屋』を主宰。塾に行けない・行きたくない子の学習指導や、子どもたちの学びを促す特別授業をやっています。子どもたちに寄りそうことを重視し、どんな子でも受け入れています。作家・企画屋・家庭教育アドバイザー・教材開発者です。花粉症の舌禍免疫中のため、現在は年中メガネです。

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