二週間ぶりの更新でスミマセン。
本日、愛知全県模試をやっている学悠出版さん主催の、2023年度の愛知県公立高校入試分析セミナーに参加してきましたよ。
スピーカーは塾の教材開発や運営サポート、全国の入試問題を研究している、エデュケーショナルネットワークの上野チーフアナリスト。
全国規模で公立校入試の傾向分析をしているので、ずっと名古屋にいる身としては、毎度「なるほど」という情報がたくさん。
(さすが有料!笑)
昨年度、愛知県では、高校入試制度改革の一つとして、問題がすべてマークシート化し、AB分かれていた問題が一つになりました。
大方の予想通り、マークシート導入年は比較的やさしい問題になる結果というか、数学は過去に類を見ない高得点になってしまいました。
普通はだいたい数学の平均点が最も低い愛知公立高入試ですが、昨年だけは、数学の平均点が一番高いという逆転現象が発生しました。
今年もこうなるということは考えられず、おそらく激しく難化するんだろうなぁとは思っていたのですが、その一つとして考えられるのが、新しい学習要領になって追加された「四分位範囲」。
親御さん世代にはなじみがない単元で、下のような「箱ひげ図」を使った統計資料の読み取りです。
計算力より理解力が必要とされる単元です
上記のように昨年度の入試でも出たのですが、超カンタンだったため(しかも5個から2個選ぶだけ)、今年はもっと難しくなって出てくるかもしれない、という上野氏。
全国的に見ても、四分位範囲というのは、年々出題する都道府県が増えているそうで、昨年の愛知県の問題なんて比にならないくらい複雑な問題もあるそうです。
こちらの問題は「箱ひげ図」+「ヒストグラム」という、データの読み取りの本質を理解していないと解けない問題。
これはまだまだ簡単な方で、ひどいところでは、もっと長い問題文が出てくるところもあるそうです(数学なのに!)。
問題を見ていると、「理科だったっけ?」みたいな、会話のやりとりのある長文と資料の読み取りから導き出すような問題を出す県もあるそうです。
愛知県の場合は問題数が少ないため、まったく同じというわけにはいかないでしょうが、昨年みたいに、「これまでの問題をマークシート化しました」みたいなのではなくなるだろうと。
マークシートにすると計算ミスが減りますしね
そういう意味で、数学は本当に読めないのですが、とにかく色んな問題に当たること、また、とにかく「考えて解く」系の問題をやっておくことですね。
そのためには、それぞれの単元が「なんとなく」ではなく、しっかりと「理解した」状態になっていないといけないので、そういう意味では、やっぱり思考力を身につけないと解けない問題が多くなりそうです。
文章題をやっていて「これ何算?」とか言ってるようじゃ、先行き不安ってことですよ笑
他にもいろいろありましたけど、どの県でも公立校入試では、どの教科も全体的に、「知識」「理解」があることが前提の上で、その場で考えられる能力が求められている、というのをひしひしと感じました。
あと、学校では結構なおざりにされがちなSDGsですが、入試問題としては結構よく出てくるようです(特に英語や社会)。
そういう意味では、今も昔も「新聞やニュースのチェック」は必須ですね
それにしても、いろんな県の工夫した問題というのは、見ていて面白いですね。
「何もない田舎を出たいと思っていた子が、地元に人を引きつけるためにどうしたらいいか考える英語の長文読解」とか、入試とかを考えずに、ただただ、「面白い問題」として取り組めば確かに楽しいよな、と。
かといって受験がなかったらそんな問題を子どもたちがやるかな、というのもあって、「面白い問題」と思うのは、ごく一部の子と、塾関係者だけだよなぁ、と思ったり。
そもそも、英単語を知らないと理解できない長文とか普通にありますからねぇ。
鳥取県の英語の入試の問題なんて、
convenient、attractive、mayor、explain、elderly、article、realize、resident、result、condition
など、従来であれば高校で習っていたような単語が、注釈もなしに英語の長文にぶち込まれていました。
愛知県の長文問題は注釈で意味を解説することが多いですが、難易度を上げようと思ったらこれが減ることだって充分あり得るわけですから、結果的に基礎的な力を身につけないといけないよねと。
新学習指導要領で英語が3倍難しくなっているからですね!
(くわしくはこちら)
寺子屋でも、こういう問題を本当の意味で「面白い」と思ってもらえるような子が増えてくれるといいなぁ・・・。